アンダー・ザ・ウォーター
評価:3
■ヒトコト感想
世界が海に沈んだ時代の物語。真水が貴重な世界で、過去に戻り海水を真水に変える研究成果を持ち帰れば人類は救われる。過去にタイムスリップする系の物語ではあるが、タイムスリップの条件が変わっている。自分の分身を過去に送ることができる。自分の分身が過去に行き、海水を真水に変える研究を行っていた女性研究者と出会ってから通信が途絶える。
過去で何が起こっているのか。過去と現在が交互に描かれており、常に陰鬱な雰囲気となっている。分身からすると、人類の生活に適さない現代よりも、緑あふれた過去での生活の方が良いに決まっている。現在の人類を助けるために、過去の分身がどれだけ自分の欲望を抑えることができるのか…。
■ストーリー
世界は海に沈んだ。人類はどうする?時は2095年。海面の上昇で大陸のほとんどが海に沈み、動植物の多くは<塩病>にかかり絶滅。真水は貴重品となり、もはや人類が滅亡するのも時間の問題だった。わずかな希望は、ある女性科学者の存在。海水を真水に変えしる研究を完成させていたと言われるが、それを発表することなく、2017年に飛行機事故で他界していた。
「なんとしても研究結果を入手せよ」政府の密命を受けたファン・ルン大尉は、特殊な技術で生み出されたQEDAと呼ばれる自らの分身を2017年へとタイムスリップさせる。しかし、分身が過去へとたどり着き女性科学者に接触した直後、通信が途絶える。果して、過去に何が起こったのか?人類は生き残ることができるのか?
■感想
世界は海水に満たされている。まるで津波被害を受けたように、ビルの谷間には海水が充満している。植物が海水の塩により枯れ、地獄のような世界だ。少しの真水を生成するのにとんでもない時間がかかる。真水が価値ある世界。
人類を救うためには、過去にタイムスリップし海水を真水に変える研究をしていた女性研究者から研究成果を手に入れるしかない。手に入れることができれば、確実に人類は救われる。人類を救うために過去にタイムスリップする物語はよくあるパターンだ。
自分の分身が過去にタイムスリップし、現在の自分と通信する。過去の世界に向かった分身は、緑に囲まれた世界に衝撃を受ける。海水に侵された現在しか知らない者からすると、過去の世界は天国のように感じるのだろう。
分身が女性研究者と出会い親密な関係となる。自分の分身からの連絡がなくなったとなると、何かアクシデントを想像してしまう。全体を通して陰鬱な雰囲気があり、明るい未来はないように思えてしまう。現在を捨てて過去に生きるという選択をするのは当然のように思えてしまった。
タイムスリップものの定番としては、過去を変えることで現在までもが変化することだ。本作はそれについては言及されていない。海水に満たされた世界というのが妙にリアルで、現実の未来もそうなりかねないような気がした。
真水が貴重品な世界では、真水が金の代わりとなる。緑を知らない世代が過去に行くと、その世界の落差に衝撃を受けるだろう。実は自分の祖母が、小さな女の子として分身と研究者と共に仲良く生活しているシーンは強烈だ。
未来の世界を予見するような作品だ。