トゥルーノース


 2023.4.23     運が悪けりゃ強制収容所おくり【トゥルーノース】

                     
トゥルーノース [ ジョエル・サットン ]
評価:3

■ヒトコト感想
北朝鮮の強制収容所から抜け出した者たちの物語。内容がかなりハードなので、あえてひと昔前のCG風味にしているのだろう。父親が政治犯とみなされ家族全員がある日突然強制収容所に入れられる。何の弁明も許されない有無を言わせぬ強制具合だ。収容所内部では、激しい生存競争が繰り広げられている。食事の奪い合いや足の引っ張り合い。いち早く裏切り者を告発するとご褒美がもらえる。

主人公であるヨハンは日々の食べ物さえ満足に得られない状態で生き抜くしかない。途中、ヨハンは体制側に周り収容所内を監視する役目を担ったりするのだが…。最終的には自分を犠牲にしても妹たちを収容所から脱出させるという選択をする。今現在も北朝鮮では同じようなことが行われていることに衝撃を受けた。

■ストーリー
1960年代の帰還事業で日本から北朝鮮に移民した家族の物語。平壌で幸せに暮らすパク一家は、父の失踪後、家族全員が突如悪名高き政治犯強制収容所に送還されてしまう。過酷な生存競争の中、主人公ヨハンは次第に純粋で優しい心を失い、他人を欺く一方、母と妹は人間性を失わずに生きようとする。そんなある日、愛する家族を失うことがきっかけとなり、ヨハンは絶望の淵で「生きる」意味を考え始める。やがてヨハンの戦いは他の者を巻き込み、収容所内で小さな革命の狼煙が上がる。

■感想
北朝鮮の強制収容所の恐怖が描かれている。予想通りというか収容所に入れられる理由はどうとでもなる。上の気分次第で自分の運命が決まる。一度収容所に入れられると抜け出すことはできない。人間らしい生活とは程遠い収容所の生活。

管理者からは使い捨てだと明言される。たとえ収容所近くで山の崩落事故が起きたとしても、生き埋めになった仲間を助け出すのは時間の無駄だと言われ、すぐに仕事に戻れと命令される。まさに管理者たちは自分たちのノルマを達成するためだけに収容所の者たちを利用している。

ヨハンは家族を守るために収容者たちを監視する側にまわる。近所のおじいさんがウサギを盗んで食べたことを密告する。そこから監視者に信頼され監視する側にまわる。監視する側は食事も豊富にあるが、仲間たちからは恨まれる存在となり。。

ついにはヨハンに恨みをもつおばあさんがヨハンの母親を刺してしまう。人間性を失わせるような過酷な環境。生きるために必死となる。そこで気高い精神を維持することは難しいのだろう。ヨハンはその事件をきっかけに生まれ変わることになる。

ヨハンの妹は管理者にレイプされ妊娠してしまう。収容所で子供を産むことはできないため、脱走を計画するのだが…。収容所の所長など一部の者以外は、何かしらこの状況に苦しんでいるのだろう。より上の者から理不尽な命令をされ、従うしかない。

妹を脱走させるためにヨハンは自分を犠牲にする。そして、妹たちは無事に脱走に成功するのだが…。収容所に入れられたら終わり。収容所に入れられるきっかけは何でも良い。となると、人の運命はまさに運にまかせるしかないのだろう。

これが北朝鮮の恐ろしい現実だ。



おしらせ

感想は下記メールアドレスへ
(*を@に変換)
pakusaou*yahoo.co.jp