盗聴者


 2024.3.20    自分の秘密の通話が盗聴テープとなる【盗聴者】


                     
盗聴者 [ フランソワ・クリュゼ ]
評価:3

■ヒトコト感想
真面目な男であるデュバルは、保険会社をクビになり謎の企業の転職オファーを受けることになる。仕事は大量の盗聴記録のテープの文字おこしだった。厳しい制約がある中、殺風景な部屋で古臭いタイプライターを使って文字おこしをする。異常な環境で、他人の何やら重要な電話のやり取りを文字おこしする。犯罪のにおいを感じさせる流れがある。

デュバルもそのあたりを気にしているのだが…。盗聴記録の内容では人が殺される場面のような記録があった。そして、現実に同じ事件が新聞の紙面をにぎわしていた。盗聴組織の不気味さと、警察組織にデュバルが目をつけられてからが強烈だ。警察側から二重スパイを依頼されるのなど、デュバルは後戻りできない状態となっている。

■ストーリー
真面目で勤勉なデュバルは心身の病に陥り保険会社を辞める。ある日、転職エージェントから突然電話をもらい、謎の企業からのオファーを告げられる。仕事内容は一切明かされず面接に行くと、なにやら膨大な量の盗聴記録のテープを忠実に起こす仕事であることがわかる。そしてその仕事にはいろいろな制約があり、それらを守りながらテープを聴き起すうちに、自分がある重大な盗聴音声の聞き起こしをさせられていることに気づく。さらにその内容とリンクするように、盗聴していた人物たちが死体となり新聞1面を飾り…。デュバルは後戻りできないスパイラルにはまっていく―

■感想
デュバルは真面目だけが取り柄な神経質そうな見た目をしている。いわれた仕事を忠実にこなす。転職エージェントから紹介された仕事は、まさにデュバルにうってつけかもしれない。特にタイピングが得意なわけではないデュバルに文字おこしの仕事を依頼した理由は真面目そうだから。

盗聴テープの文字おこしは、盗聴内容を聞くことになるので、心理的な負荷が高い。デュバルは淡々と仕事をする。古いタイプライターを使い、何もない部屋でひたすらテープを聞いて文字おこしをする。

盗聴テープの中で、人が殺される音声が録音されていた。実施にそのニュースが流れると…。そもそも盗聴テープということで何かしらきな臭い雰囲気を感じていたデュバル。トラブルが発生し、殺人事件に巻き込まれてしまう。

警察組織に事情聴取され盗聴の仕事の話をするのだが…。盗聴組織と警察組織は対立しており、政治的な対立が原因というのを突き止めるデュバル。ここからのデュバルの八方ふさがり感はすさまじい。盗聴組織からは狙われ、警察組織からは二重スパイをしろと脅される。。

デュバルは覚悟を決めて、それぞれの組織に取引を持ち掛ける。ここが本作のピークだろう。デュバルとしたら自分と警察組織の秘密の通話も盗聴されており、それを自分で文字おこしする気分はどうなのだろうか?警察組織と盗聴組織の密約の場に居合わせたデュバル。

政治的な駆け引きと、自分の地位を守るために悩む者たち。デュバルだけは部外者として適切にその場で行動している。すべてが盗聴されており、二重スパイである自分の声すら盗聴されていると知った時の絶望感はすさまじい。

デュバルの立場の八方ふさがり感はすさまじい。



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