トスカーナの幸せレシピ [ ヴィニーチョ・マルキオーニ ]
評価:3.5
■ヒトコト感想
一流シェフのアルトゥーロは傷害事件を起こし社会奉仕を行うことになる。ひょんなことからアスペルガー症候群の若者たちに料理を教えることになるのだが…。アスペルガーの若者は普通に人とコミュニケーションをとるのは難しいが特殊な才能があった。料理を一口食べただけでそこにどんな材料が入っているのかがわかる。
アルトゥーロすら気づかない素材を当てたりもする。絶対味覚をもつ青年グイドが若手料理コンテストに参加するのだが…。アルトゥーロは最初はグイドのことをやっかいな存在と考えていた。コンテストでも絶対に勝ち残るとは思っていなかったのだが…。純粋なグイドに次第に協力的になるアルトゥーロが良い。純粋すぎるグイドは怖い部分もある。
■ストーリー
超一流シェフのアルトゥーロは、仲間とのトラブルで傷害事件を起こし、更生のため社会奉仕に就くことに。その役目は、アスペルガー症候群の自立支援施設で若者たちに料理を教えることだった。施設の責任者アンナの厳しい視線の下、彼は本気で生徒と向き合い、若き創造性を引き出そうとする。なかでも〝絶対味覚〟を持つ青年グイドはトスカーナで開催される「若手料理コンテスト」への出場を決め、アルトゥーロの運転で人生初の旅行に出発。
だが、開催地に到着すると、アルトゥーロにも料理人のプライドをかけた大仕事が舞い込み、グイドの元を離れることに...。いつの間にか固い絆で結ばれていた二人。心の支えを失ったグイドは、料理決戦で優勝できるのか──!?
■感想
一流シェフが事件を起こして地位を失う。再起の機会を狙ってはいるが、まずは社会奉仕をする必要がある。一流シェフであるアルトゥーロが自立支援施設の若者たちに料理を教える。普通に考えるとアスペルガーの若者に料理は難しいのだろうが…。
アスペルガーは融通は利かない。砂糖少々や塩少々という言葉が通じない。きっちりと計量して料理をする分には確かに間違いはないのだろう。絶対味覚をもっているグイドであれば料理人としてうまくいくのかもしれないのだが…。
グイドは行き過ぎることがある。アウトゥーロの指示を忠実に守るので料理の腕はあがっていく。ただアスペルガーとしての危うさはある。コンテストでは周りがスタートしている瞬間、それでもこだわりがありなかなか進めることができない。
コンテストで材料を運んでくれた女の子に再会し一目ぼれをしてしまう。そのままの勢いで夜に宿舎を抜け出して女の子に近づきキスをしようとしたりもする。普通ではないグイドに女の子は引いてしまう。当然のことだろう。
コンテストの決勝でグイドは料理を作る。そこでもレシピ通りに作るのは料理の味を落とすと考え、グイドは最後にココアのパウダーをかけることをしない。結局のところ決勝で負けてしまう。ただ、アウトゥーロを含め、だれも後悔はしていない。
一流の料理人も、最終的にはグイドの料理を評価している。ラストではアウトゥーロがシェフを務める店でグイドは働くことになる。そこではアウトゥーロの右腕として料理の腕をふるっているのが良い。
絶対味覚というのがすさまじい。