トキワ荘の青春


 2022.3.31      昭和の時代の貧乏メシ【トキワ荘の青春】

                     
トキワ荘の青春 デジタルリマスター版 [ 本木雅弘 ]
評価:3

■ヒトコト感想
昔の漫画家たちが同じアパートで生活していたということに驚いた。偶然なのか、口コミでそうなっていったのか。作中の中で知っているのは手塚治虫や藤子不二雄、赤塚不二夫くらいだ。石ノ森章太郎もかろうじで名前を聞いたことがある程度だ。昭和の時代の貧乏な漫画家の卵たちが、どのような生活を続けてきたのか。昭和のアパート暮らしとはこんな感じなのか、という驚きに満ちている。

特に金がなく、日々食べる物にも苦労する。家賃を払うにも必死。少ない原稿料をあてにし、皆で協力して良いマンガを書こうと奮闘する。昔の漫画家はアシスタントがいない状態で、ひとり(または二人で)書いていたということには驚かずにはいられない。

■ストーリー
手塚治虫、藤子不二雄、石森章太郎、赤塚不二夫・・・・みんな知っている漫画家たちが一緒に暮らすアパートがあった。今から40年くらい前、東京の片隅のアパートに手塚治虫に憧れる漫画家志望の若者達が一緒に暮らしていた。彼らはみんな貧乏で食べ物にも困るような生活を送っていたけれど、漫画への情熱があった。本木雅弘演ずる寺田ヒロオを中心に喜びも悲しみもみんなで分かち合った若き日の漫画家たちの姿を描く。

■感想
伝説的漫画家も売れない時期はあり、その時期、皆が偶然にも同じアパートに住んでいたということに驚いた。売れない時代、必死になりマンガを描き続け、家賃を払うのにも四苦八苦する。トキワ荘の中でリーダー的存在であった寺田を中心に物語が描かれていく。

手塚治虫は売れっ子となり早々とトキワ荘を出ていく。そこに藤子不二雄が入ってきたりと、なんだか運命的なものを感じずにはいられない。石ノ森章太郎や赤塚不二夫まで、有名な漫画家がすべてトキワ荘出身ということには驚かずにはいられない。

食べものがないので、キャベツ炒めや玉ねぎスライスなどを用意して酒を飲んだりもする。狭い四畳半程度の部屋にこもりマンガを描き続ける。あてにしていた出版社が潰れたりと波乱万丈はあるのだが、中盤以降ではトキワ荘の漫画家たちが次々と売れっ子になっていくのが印象的だ。

寺田の部屋で恒例の酒盛りをやっていたが、売れっ子には出版社から催促がきて、マンガを書くために部屋に戻っていく。最後には寺田ともうひとりしか残らない。それだけ皆が売れっ子になっていったということなのだろう。

主役の寺田についてはよくわからない。編集者の意向を無視して書きたいものを書くタイプだったのだろう。そこまで有名ではないが、それなりに売れていたのは確かだ。ラストの流れからすると、寺田はマンガ家になる夢破れ、トキワ荘をでていったように思えてしまう。

昭和の時代の貧乏な漫画家たちの生活は興味深い。みなが必死になってマンガを描き、時代がマンガを求めている中での過渡期で成功した者たちの物語としては非常に印象的だ。

マンガへの強烈な情熱が伝わってくる作品だ。



おしらせ

感想は下記メールアドレスへ
(*を@に変換)
pakusaou*yahoo.co.jp