ザ・タンク


 2023.12.11    強烈に未熟な実験メンバーたち【ザ・タンク】

                     
ザ・タンク [DVD]
評価:3

■ヒトコト感想
火星での任務のシミュレーションとして北極のタンクの施設内で実験を行う。宇宙飛行士の訓練として密閉された空間での複数人の生活というのは聞いたことがある。本作もそのパターンのひとつなのだが、始まりが特殊だ。組織の年間予算が余ったからと無理やり押し込んだ企画。それでだからかわからないが、任務の内容と、パニックになる人員たちのレベルがずいぶんと低いように感じられた。

ちょっとしたことで喧嘩をしたり、精神に異常をきたしたり。娘を亡くして精神的に不安定なリーダー。幻覚を見るメンバー。宇宙飛行士の候補者としての能力の高さが見えないメンバーばかりだ。次第に仲が悪くなっていく展開というのは想像できたのだが、幻覚を見るタイプが登場するとは思わなかった。

■ストーリー
火星探査のシミュレーションのため、6人の宇宙飛行士候補がタンク施設の密室実験に参加した。471日間、一歩も外に出られないという密閉状態で実験が行われ、メンバーは徐々に精神のバランスを崩していく。

■感想
シミュレーションとして、水の中で無重力を体験するなどの訓練がNASAでやられていることは知っていた。本作もそのパターンにより北極で、火星での長期滞在を経験する。簡単に言うと、閉鎖された環境で複数の人が生活する物語となっている。

女2人と男4人。それぞれ医者や社会学者、軍人など経歴は様々だ。長期間、一歩も外に出られず同じメンバーで顔を合わせ続けるのはとんでもないストレスだろう。ただ、そのストレスに耐えるための訓練なのだが…。この6人は対応できずに問題が発生している。

余り予算を消化するために急遽立ち上げられたプロジェクトだ。恐らく急遽集められたという体なので、試験者が未熟なのかもしれない。メンバーの男女で恋愛関係になったり、敵対関係になったり。リーダーの男は娘を失ったばかりで精神が不安定になっていた。

ひとりの男はてんかんの発作があり、それを隠しながらの実験となる。あとは妄想にとらわれ神のお告げなどを信じる男がいる。結局は妄想を見続ける男が自作の銃を使ってメンバーの一人を撃ってしまう。そして、最終的には自分の頭を撃ちぬいてしまう。

次々と脱落していく者たち。そして、都合悪く。最後の日には悪天候により助けが来ない。そのため、停電し強風でタンクがひっくり返ったりしながら、中にいる者たちは厳しい寒さの中で過ごすことになる。序盤で全員死亡という報告がされているので、結末はわかっている。

足を怪我してその怪我が元で敗血症になるため、足を切断する場面がある。あえての過酷な状況を描きつつ、微かな希望を残してはいたが、結末ははっきりとしている。

ありえない実験メンバーたちだ。



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