The NET 網に囚われた男


 2024.3.17    韓国と北朝鮮の両方からスパイを疑われる男【The NET 網に囚われた男】


                     
The NET 網に囚われた男 [ イ・ウォングン ]
評価:3.5

■ヒトコト感想
北朝鮮と韓国の物語。北朝鮮の漁師であるナムの船の網が絡まり、流されるまま韓国の領内に入ってしまう。このあたり、北朝鮮と韓国の国の関係性と国境警備のシリアスさが描かれている。偶然韓国に入り込んでしまったナムが、韓国でスパイ容疑をかけられ、そこから韓国へ亡命するように迫られる。家族がいるナムは北朝鮮に帰りたがるのだが…。

きらびやかな韓国の町並みをみて衝撃を受けたりもするナム。スパイ容疑が晴れ、北朝鮮に帰ったとしても、そこでもスパイ容疑をかけられる。ナムはどちらの国からも拒否されるような立場となる。国家と個人。裕福な国に亡命すれば必ず市も幸せになれるとは限らない。ナムが北朝鮮に帰ったとしても厳しい扱いを受けたのは悲しすぎる。

■ストーリー
ある事故により国境を越えた漁師の男に降りかかる理不尽な運命。北朝鮮の漁師ナム・チョルは、いつものように自分の舟で漁にでるが、網がエンジンに絡まり韓国側に流されてしまう。一日も早く妻子の元に戻ることだけが望みだった彼は、韓国警察からの過酷な拷問と亡命の強要に耐えるのだったが・・・。一人の男の運命を通し、国家と個人という枠を超えて、常に弱者が犠牲を強いられ切り捨てられる現代社会の矛盾と闇が見えてくる。

■感想
漁師のナムは舟が流れ着いて韓国に入り込んでしまう。スパイ容疑をかけられ厳しい尋問を受けるナム。脱北者が当たり前にいる社会の中で、スパイを見分けるために韓国が必死になるのはよくわかる。ナムがどれだけ否定したとしても、あら捜しをし尋問を繰り返す韓国側。

そんな中で、ナムの世話をする人物だけはナムが無実だと知り北朝鮮へ帰そうとする。脱北者は誰でもかれでも亡命させようと考える韓国。驚きなのは脱北者に対して、裕福な街の情景を見せて転向させようとする部分だ。

豊かな韓国と貧困の北朝鮮。この対比がありながら、ナムは家族の元に帰ることだけを考える。ナムがとった手段はすさまじい。できるだけ韓国の町の情報を見ないために終始目をつむっている。知らなければ情報を話すことはない。

自分は無実だから韓国の秘密も北朝鮮で話すことはない、ということを示しているのだろう。激しい拷問を受けても折れることのないナムだが…。結局は韓国のマスコミの動きによりナムは北朝鮮に帰れることになるのだが…。

表向きは北朝鮮で勇者として帰還を喜ばれるのだが…。北朝鮮に帰ると、今度は韓国側のスパイではないかと怪しまれることになる。体を調べられ、持ち帰った子供へのお土産のぬいぐるみも調べられる。唯一体に入れて持ち帰ったドル紙幣も没収されてしまう。

結局、ナムは不運にも韓国に流れ着いてしまったため、韓国と北朝鮮の両方からスパイ扱いされてしまう。ナムの奥さんも北朝鮮側の保安部から拷問を受けたような傷跡がある。最終的には、ナムの仕事である漁もできなくなる。

ナムはただただ悲惨でしかない。



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