卵を買いに 


 2024.7.15      飼い犬ゆりねとの生活 【卵を買いに】


                     
卵を買いに (幻冬舎文庫) [ 小川糸 ]
評価:3
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■ヒトコト感想
小川糸のエッセイ集。作者の時間の流れがそのままエッセイとして描かれている。今回は、飼い犬のゆりねと元飼い犬のコロとの関係がメインに描かれている。ラトビアというレアな国への旅や、日々の生活のエッセイが続いていく。安定した面白さはあるのだが、大きな事件があるわけではない。大きな印象としては飼い犬のゆりねをまるで子供のようにかわいがっているということだ。

海外への旅で少しの間家を空けると、ゆりねは旦那さんであるペンギンになついており、作者のことをちょっと顔見知りの誰かという接し方をしてくる。日々の落ち着いた生活は、まさにご近所さんの生活を見ているような気分になる。ゆりねとコロの行く末も気になるところだ。

■ストーリー
取材で訪れたラトビアに、恋してしまいました。手作りの黒パンや採れたての苺が並ぶ素朴だけれど洗練された食卓、代々受け継がれる色鮮やかなミトン、森と湖に囲まれて暮らす人々の底抜けに明るい笑顔。キラキラ輝くラトビアという小さな国が教えてくれた、生きるために本当に大切なもの。新たな出会いと気づきの日々を綴った人気日記エッセイ。

■感想
取材先であるラトビアの生活が描かれている。世間はラトビアに対してあまりイメージがない。ロシアの続国のようなイメージしかない。それを作者はラトビア独自の良いところをアピールしようと必死になっている。

取れたての野菜や手作りの黒パン。まぁ、珍しいのかもしれないが、結局は田舎の自然に囲まれた国というイメージでしかない。新たな出会いとしては申し分ないのだろう。普通に生活している一般人はラトビアを訪れることはない。このあたりは作家としての役得なのだろう。

日常のエッセイとしてゆりねの話が頻繁に登場してくる。元飼い犬であるコロのお嫁さん候補として飼うことになった犬。ゆりねとコロのお見合いが頻繁に行われており、コロは発情期となり必死に腰をふるのだが、それがゆりねの顔の方になっていたりとイマイチうまくいかない。

犬は自然の本能としてそのあたりはうまくいくのかと思っていたのだが…。いくらお互いの愛称が良いとしても、うまくいかないパターンがあるのだろう。飼い犬あるあるのかもしれない。

ゆりねとコロのお見合いがうまくいかず、ゆりねは避妊手術をすることになる。犬は自分がどんな手術をされたのかは理解していない。それでも何か嫌なことをされたのは認識できるのだろう。ゆりねの作者に対しての態度は、抗議の意味があるのだろう。

犬を飼っている人のあるあるかもしれない。日常のエッセイとしての面白さは安定している。飼い犬たちのその後が気になるのは間違いない。新たな出会いや、新たな変化があるとすぐさまエッセイに反映されるのだろう。

作者の周辺の変化もよくわかるエッセイ集だ。



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