2023.6.4 世間の正しいは本当に正しいのか? 【”正しい”を疑え!】
“正しい”を疑え! [ 真山仁 ]
評価:2.5
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■ヒトコト感想
真山仁が語る。世間的に正しいと言われていることに対して、どのようなスタンスで受け止めるのか。わかりやすいことを例にだして、世間が必ずしも正しいとは限らないということを説明している。なかなか世間で正しいと言われていることを疑うのは難しい。ジュニア新書の作品なので、主に子供たちに向けた言葉なのだろう。
テレビで報道されていることはすべて正しいわけではない。どのようにして疑うのか。SNSとの付き合い方や、コミュニケーションについてまで、多種多様な提言が描かれている。特に印象的なのは、コロナ渦での過剰なマスコミの反応と、世間にあふれた〇〇警察についてだ。まさにこれぞ過剰に正しいを受け止めた結果なのかもしれない。
■ストーリー
「自分の考えが絶対に正しい!」と他人に意見を押しつけSNSを炎上させる人。その一方で、たやすく人の意見に流されてしまう人々も…。不安と不信が蔓延する社会において、私達は何を拠り所にすればよいのでしょうか。自分を信じて自分らしく生きるためのヒントを人気作家・真山仁さんが語ります。特別書下ろし。
■感想
世の中は正しいに満ちている。世間で報道されている情報がすべて正しいと考えるのは危険というスタンスの作品だ。気持ちが不安になると正しいことを求めたくなる。その結果として、自分の意見が正しいと考えSNSで他人に意見を押し付けたりもする。
印象的なのはやはりコロナ渦での過剰な監視行為だろう。政府の自粛要請に少しでも外れたことをすると、自粛警察が炎上させる。飲み屋を営業していたからと叩く。県外からやってきたとわかると非難する。今思えば、明らかに異質な状況であることは間違いない。
何事にも疑うことを忘れないのは正しいのだろう。ただ、その疑いがすぎると…。例えば今であればコロナのワクチンを受けろと政府から報道されている。ただ、それが正しいとは考えず反ワクチンとして、ありもしない政府の陰謀論を信じたりもする。
それこそ、正しいを疑うのが間違った方向にすすんでしまっている。大多数を疑い、少数派を無条件に妄信するのは明らかに間違いだ。本作では正しいを疑うことを推奨しているだけで、少数派の意見を尊重しろというわけではない。
小学生や中学生向けの作品なのかもしれない。SNSでの炎上の仕組みや、世間の正しいを鵜呑みにすることの危険性。常に別の視点をもつことは重要ではあるが、人生経験の乏しい小学生が多角的な視点をもつのは難しいのだろう。明らかに親や教師の影響は大きくなる。
自分で考え、自分で行動ができるのはかなり成熟した大人であっても難しいのだろう。ラストには有名ミステリーについても語られている。なぜここでアガサクリスティー?というのはあるのだが…。
かなり異色な作品だ。
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