少年の君


 2023.5.27    中国の受験戦争と壮絶なイジメ【少年の君】

                     
少年の君 [ チョウ・ドンユイ ]
評価:3.5

■ヒトコト感想
中国の苛烈な受験戦争とイジメを描いた作品。成績優秀なチェンは友達が校舎から飛び降りて自殺した場面に遭遇する。そのことをきっかけとしてイジメのターゲットとなるチェン。まず序盤に中国の強烈な受験戦争が描かれている。机の上には大量の教科書や参考書の山。教師はまさに軍曹のように生徒たちを鼓舞して受験戦争に勝たせようとする。体育の時間であっても、勉強したい者は途中で教室へ戻ることが許される。

相当なストレスだろう。そのストレスのはけ口はイジメへと向かうのだが…。チェンが告げ口したことでイジメた女たちは学校を退学させられてしまうのだが…。チェンはシャオペイと知り合いとなり、ここで世界の違いを感じるのだが…、最後にはシャオペイとチェンの強烈な絆を知ることになる。

■ストーリー
進学校に通う成績優秀な高校3年生のチェン・ニェン。全国統一大学入試(=高考)を控え殺伐とする校内で、ひたすら参考書に向かい息を潜め卒業までの日々をやり過ごしていた。そんな中、同級生の女子生徒がクラスメイトのいじめを苦に、校舎から飛び降り自らの命を絶ってしまう。少女の死体に無遠慮に向けられる生徒たちのスマホのレンズ、その異様な光景に耐えきれなくなったチェン・ニェンは、遺体にそっと自分の上着をかけてやる。

しかし、そのことをきっかけに激しいいじめの矛先はチェン・ニェンへと向かうことに。彼女の学費のためと犯罪スレスレの商売に手を出している母親以外に身寄りはなく、頼る者もないチェン・ニェン。同級生たちの悪意が日増しに激しくなる中、下校途中の彼女は集団暴行を受けている少年を目撃し、とっさの判断で彼シャオベイを窮地から救う。辛く孤独な日々を送る優等生の少女と、ストリートに生きるしかなかった不良少年。二人の孤独な魂は、いつしか互いに引き合ってゆくのだが……。

■感想
まず序盤で強烈なのは中国の受験戦争だ。学生たちは受験勉強に必死となる。自分たちの人生はこれで決まるというくらいの追い込まれ具合だ。ちょうど、韓国の受験戦争に近いのかもしれない。学校では机の上に教科書や参考書を山積みにし勉強する。

学校というよりは予備校のような雰囲気かもしれない。イジメを苦に自殺した同級生がおり、イジメの主犯格をチェンが教師へ告発する。その結果…。今度はチェンがイジメのターゲットとされてしまう。イジメの陰湿さは強烈かもしれない。

チェンはチンピラのシャオペイと出会う。交わるはずのないふたりがひょんなことから知り合いとなる。シャオペイはチェンをイジメから守る。将来大学へ行くチェンとチンピラのシャオペイでは未来に対する希望が異なっている。シャオペイの活躍によりチェンは無事に受験できるかと思いきや…。

イジメの主犯格の女が仲間を呼び出しチェンをリンチする。壮絶なイジメだ。チェンの髪の毛を切り下着姿をスマホで撮影したりもする。チェンを守ることに失敗したシャオペイは、チェンの姿を見て激怒するのだが…。

イジメの主犯の女が死体で見つかった。物語としてはシャオペイが激怒して女を殺害したという流れが続く。坊主頭となってチェンは淡々と受験する。中国の受験の苛烈さと、試験が終わった瞬間のはじけっぷりがすさまじい。警察はシャオペイにたどり着くのだが、イジメられていたチェンが怪しいと付きまとうことになる。

真相はチェンが主犯の女を階段から落として殺してしまったということだ。チェンをかばうためにシャオペイが罪をかぶろうとしたのだが…。

中国の受験戦争の苛烈さが印象的だ。



おしらせ

感想は下記メールアドレスへ
(*を@に変換)
pakusaou*yahoo.co.jp