スウィング・キッズ


 2023.6.14    それぞれのイデオロギーを抱えるダンスチーム【スウィング・キッズ】

                     
スウィング・キッズ デラックス版
評価:3

■ヒトコト感想
朝鮮戦争での捕虜収容所の物語。韓国側でのアメリカ軍が北朝鮮の捕虜を使いイメージアップのためにダンスチームを作ろうとする。黒人兵士のジャクソンがリーダーとなり問題児ばかりを集めた特殊なダンスチーム。アメリカに迎合しないため、タップダンスを踊ることに反発し続けるロギス。金が必要だとドライに通訳とダンスを続けるヤン。

それぞれの思惑がありながら、収容所の所長の、自分の評価が第一という流れに反発しようとする。収容所ではあるが、北朝鮮の捕虜たちが反乱めいたことを起こしたりもする。イデオロギーの問題があり、ギスギスしたりもする。本来ならそれらをすべて取っ払ったのがダンスチームの特徴であるはずなのだが…。

■ストーリー
捕虜たちとダンスチームを作ったらどうだ?1951年。朝鮮戦争当時、最大規模の巨済(ルビ:コジェ)捕虜収容所。新しく赴任した所長は収容所の対外的なイメージメイキングのために、戦争捕虜たちによるダンスチーム結成プロジェクトを計画する。収容所で一番のトラブルメーカー ロ・ギス、4か国語も話せる無認可の通訳士 ヤン・パンネ、生き別れた妻を捜すために有名になることを望み、愛に生きる男 カン・ビョンサム、見た目からは想像できないダンスの実力を持った栄養失調の踊り手 シャオパン、

そして彼らのリーダーであり元ブロードウェイのタップダンサー ジャクソンまで、紆余曲折の末、一堂に会した彼らの名前はスウィング・キッズ!それぞれ異なる事情を抱えてダンスを踊ることになり、デビュー公演が目前に迫っていた。国籍、言葉、イデオロギー、ダンスの実力、全てがちぐはぐな寄せ集めダンスチームは前途多難でしかないが…。

■感想
ロギスはダンスの才能はあるが、祖国への忠誠心が強くアメリカに反発する問題児だ。ジャクソンはロギスのダンスを見て即座にダンスの才能があることに気づく。そもそもが大規模な収容所のイメージアップのためにダンスチームを作る命令を受けるジャクソン。

黒人であることもまた、収容所内での白人たちから迫害を受けているようだ。ジャクソンが北朝鮮の捕虜を使ってダンスチームを作る。太った中国人はその体形に似合わず機敏な動きをする動けるデブだ。その他、伝統的な踊りの達人であるカンなどもいる。

通訳のヤンは金を手に入れるためにダンスチームに入る。ダンスはタップダンスなのだが、アメリカに迎合しているとみられることにロギスは危機感をおぼえている。収容所の所長はそんなことはお構いなしに対外的なイメージアップのため、ジャクソンに命令する。

ジャクソンとしては黒人ということで周りから虐げられており、さらに捕虜たちでのダンスチームということで不安を隠せない。見どころは間違いなく4人のタップダンスだ。特にロギスのダンスはすさまじい迫力がある。

北朝鮮の抵抗勢力はひそかに収容所の所長を襲撃しようと考える。ロギスはその命令を受けるのだが…。晴れて、ダンスチームのお披露目の日、皆の前で所長が襲撃される。タップダンスチームが原因でこの襲撃が起きたと考えられ、ダンスチームのメンバーは射殺されてしまう。

イデオロギーのために排除されてきた黒人。そして捕虜たちの中でもイデオロギーの問題を抱えている。

タップダンスのシーンは強烈だ。



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