スクイッド荘の殺人 


 2023.1.5      館に仕掛けがあるかと思いきや… 【スクイッド荘の殺人】

                     
スクイッド荘の殺人/東川篤哉
評価:3
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■ヒトコト感想
烏賊川市シリーズ。久々に鵜飼探偵が活躍する。大雪で外部からの行き来が閉ざされたスクイッド荘で殺人事件が起きる。定番的な設定で鵜飼探偵が事件を解決するのだが…。相変わらず作者の色が強くでているミステリーだ。トリックとしては特別なものはない。どこかで読んだことのある流れではある。

スクイッド荘が少し特殊なので、綾辻行人の館シリーズ的になるのかと思いきやそうはならない。脅迫された三郎のボディーガードとして鵜飼たちがスクイッド荘に入り込むのだが…。過去の事件が現在の事件に大きく影響している。突如としてマニアックな野球ネタがでてくるあたり、作者の個性なのだろう。本格ミステリー好きには合わないが、ライトなミステリーファンにはおすすめだ。

■ストーリー
閑古鳥さえ寄りつかない鵜飼探偵事務所に、待望の依頼人が訪れた。なんと烏賊川市の有力企業社長・小峰三郎。三郎は、クリスマスに宿泊するスクイッド荘に同行し、脅迫者から自分を護ってほしいという。断崖絶壁に建つ奇妙な形のスクイッド荘は大雪に見舞われ、いかにも怪事件が起こりそうなムード。探偵と助手が酒と温泉にうつつを抜かしている間に、殺人者はひたひたと忍び寄り……。烏賊川市シリーズ13年ぶりの長編!

■感想
烏賊川市でいつものように事件が起こる。鵜飼探偵が事件を解決するのだが…。序盤から謎の脅迫状と、脅迫された三郎をボディーガードするという名目でスクイッド荘に宿泊する鵜飼たち。大雪で外部からの連絡が遮断されるのは、王道のミステリーのパターンだ。

ここまでオーソドックスなパターンのミステリーで終わるわけがないと思っていたのだが…。いわくありげなスクイッド荘。烏賊をイメージした山荘であれば、どうしても館のトリックを想像してしまうのだが、スクイッド荘をまるっきりいじらないのがポイントかもしれない。

過去に三郎の兄である太郎がバラバラ殺人事件の被害者であり、次郎はバラバラ殺人事件の容疑者であったが、崖から転落して死亡していた。過去の事件と三郎の強迫がどう関係するのか。三郎を狙う者の存在があり、その後、予告どおりに三郎が殺害される。

鵜飼たちが事件を解決するために動きだすのだが…。その過程で、容疑者と思われた男が死亡する。。。ミステリーのトリックとしては名前が重要ということなのだろう。三郎が刺された際に鵜飼は三郎の最後のダイイングメッセージを聞くのだが…。

過去の事件のトリックが現在の事件に大きく関係してくる。謎の箱が持ち込まれ、その部屋でバラバラ殺人事件が起きた。となると箱の中にバラバラにされた死体が入っているのかと思いきや…。バラバラ殺人事件のトリックがもしかしたらメインなのかもしれない。

過去の事件の真相が現在の三郎への脅迫へと繋がっている。となると、過去の事件の関係者が怪しいのだが…。過去の事件でいきなりアメリカの探偵であるダニエルが登場してくるのは、いくらなんでもその後のトリックへつながるとわかってしまう。

久々の烏賊川市シリーズだ。



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