すべてが変わった日


 2023.2.3     息子が死んだ日にすべてが変わる【すべてが変わった日】

                     
すべてが変わった日 [ トーマス・ベズーチャ ]
評価:2.5

■ヒトコト感想
元保安官のジョージとマーガレットの夫婦は、孫を取り戻そうとする。息子が事故死し、嫁と孫が再婚する。その再婚した相手が暴力夫で…。まぁ、わかる。息子が死んだ今となってはどこまで関わるかは難しいだろう。確かに孫はジョージとマーガレットの孫に変わりはない。普通は息子が死に嫁が再婚したら関係性は薄くなるだろう。

嫁と孫が暴力夫とその家族から虐待を受けている。助け出すためにジョージたちは家族の元に乗り込むのだが…。暴力夫であるウィーボーイの家族は、まさにこの家族だからこそ作り上げられた男という感じだ。ボスであるウィーボーイの母親の女王様感がすさまじい。こんな家族に囲まれて育つと孫の将来が不安になるのももっともだ。

■ストーリー
1963年、モンタナ州の牧場。元保安官のジョージ・ブラックリッジと妻のマーガレットは、落馬の事故で息子のジェームズを失う。3年後、未亡人として幼い息子のジミーを育てていた義理の娘のローナが、ドニー・ウィーボーイと再婚。暴力的なドニーがローナとジミーを連れてノースダコタ州の実家に引っ越したと知ったマーガレットは、義理の娘と孫を取り戻すことを決意する。しかしジョージとマーガレットを待ち受けていたのは、暴力と支配欲ですべてを仕切る異様な女家長、ブランチ・ウィーボーイだった……。

■感想
息子の妻であるローナと孫のジミー。暴力夫のドニーに連れられノースダコタの実家に帰ってしまった。それまで息子夫婦と同居し孫と生活するという幸せな毎日を過ごしてきたジョージとマーガレットの生活は一変する。

息子がいない今、ローナたちとの関係は薄くなり、ともすれば交流はなくなる可能性がある。特に印象的なのは、マーガレットがことさらジミーに執着している点だ。ドニーから助けるのはあくまでもジミーのみ。母親からジミーを奪い取るなど無理なことだとわかっているはずなのだが…。

ドニーの実家は衝撃的だ。暴力で支配された異様な家庭。女帝が仕切るその家庭で虐げられながら生活するローナとジミー。それを目の当たりにしたマーガレットは、ドニーの家族に秘密にしてジミーとローナを助け出そうとする。ここまでくると、宗教に入信した家族の奪還のような雰囲気すらある。

強烈なのは、そのことが女帝に見つかり、なんだかんだあり、ジョージは右手の指をすべて斧で切断されてしまう。ただ、こうなってもジミーを誘拐しようとしたということでドニー家族にお咎めなしなのが強烈だ。

ジョージとマーガレットの夫婦の立場は微妙だ。ともすれば母親から息子を奪う鬼のような祖父と見える。ただ、ローナが恐怖から逃げ出せないでいる現状を周りは知らない。こうなると八方ふさがりな感はあり、ジョージは指まで切られている。

マーガレットたちからすると、強硬手段に出るしかない。ここまでこじれると、どのような結末となっても幸せにはならないだろう。ジミーがマーガレットになついているというのも、マーガレットの主観でしかない。

タイトルどおり、息子の事故死がすべてが変わった日となってしまった。



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