すばらしき世界


 2024.2.7    真人間になりたい元ヤクザ【すばらしき世界】


                     
すばらしき世界【Blu-ray】 [ 役所広司 ]
評価:3.5

■ヒトコト感想
元やくざの受刑者が13年の刑期を終えて出所した。身元引受人の庄司とその妻の温かさに心打たれる三上。ただ、世間はそこまで甘くない。前科持ちは正業に就くのがむずかしい。三上の性格的なものから、すぐにカッとなり喧嘩をしてしまう部分がある。テレビのディレクターから三上は母親を探すために番組出演を依頼されたりもする。

三上自身の気持ちとしては普通に仕事をしたい。刑務所に入っている間に免許を失効してしまい、教習所に通ったりもする。元殺人犯である三上は町でチンピラにサラリーマンが襲われている場でサラリーマンを助けたりもする。その際に、チンピラをぼこぼこにしすぎたため、ディレクターの津乃田に引かれたりもする。温かい人もいれば、前科者に対して冷たいのが普通なのかもしれない。

■ストーリー
冬の旭川刑務所でひとりの受刑者が13年の刑期を終えた。刑務官に見送られてバスに乗ったその男、三上正夫(役所広司)は上京し、身元引受人の弁護士、庄司(橋爪功)とその妻、敦子(梶芽衣子)に迎えられる。その頃、テレビの制作会社を辞めたばかりで小説家を志す青年、津乃田(仲野太賀)のもとに、やり手のTVプロデューサー、吉澤(長澤まさみ)から仕事の依頼が届いていた。取材対象は三上。

吉澤は前科者の三上が心を入れ替えて社会に復帰し、生き別れた母親と涙ながらに再会するというストーリーを思い描き、感動のドキュメンタリー番組に仕立てたいと考えていた。生活が苦しい津乃田はその依頼を請け負う。しかし、この取材には大きな問題があった。三上はまぎれもない“元殺人犯"なのだ。津乃田は表紙に“身分帳"と書かれたノートに目を通した。

身分帳とは、刑務所の受刑者の経歴を事細かに記した個人台帳のようなもの。三上が自分の身分帳を書き写したそのノートには、彼の生い立ちや犯罪歴などが几帳面な文字でびっしりと綴られていた。人生の大半を刑務所で過ごしてきた三上の壮絶な過去に、津乃田は嫌な寒気を覚えた。

■感想
瞬間湯沸かし器のように怒りを抑えられない三上。まっとうな仕事につき、平凡な生活を送りたいのだが…。仕事につけずに生活保護を受けることになる。三上からすれば、それすらもプライドが許さない。保護士に噛みついたりもするのだが…。

身元引受人や保護士、そしてTVディレクターや近所のスーパーの店員など、みなが三上のことを親身に考えている。対して三上は自分のことをわかっているのだが、怒りを制御できない。まがったことが嫌いだからというのだろうか…。怒りの沸点が低いというのもある。

免許を取るのにも四苦八苦する。合間にチンピラと喧嘩をしてしまう。すでに60歳に近いはずの三上だが、若者のチンピラ二人に喧嘩で勝っている。すさまじい迫力と根性で喧嘩慣れした雰囲気をだしている。血圧が高くなるとふらついて倒れたりもする三上。

喧嘩を津乃田からとがめられると、そのまま地元の福岡に戻り、知り合いのやくざの元に帰るのだが…。まっとうな人間になるはずが…。ヤクザは表向きは羽振りが良いように見えるが、状況は苦しい。身を寄せたヤクザが警察のがさ入れが入ったので、三上は逃げ出すことになる。

三上は東京に戻り、皆の協力を得ながら介護補助の仕事をするのだが…。そこで、知的障害のある同僚が、別の同僚にいじめられているのを見て我慢ならずに手を出してしまう。少しは成長した三上は同僚との雑談の場で愛想笑いをしたりもする。元やくざが真人間に戻ろうとしての苦悩。

ただ、普通に仕事をしたいだけなのにできない。怒りの沸点が低いという欠点から、周りから避けられてしまう。三上を知り理解して慕ってくれる一部の人の期待に応えるために必死に頑張る三上なのだが…。

ラストは悲しすぎる展開だ。



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