2022.11.3 人質が犯人に恋をする【ストックホルム・ケース】
ストックホルム・ケース [ イーサン・ホーク ]
評価:3
■ヒトコト感想
俗に言うストックホルム症候群の元となった出来事だ。実際に本作のようなことが起きたことには驚かずにはいられない。小悪党のラースがストックホルムの銀行に強盗へ入る。そこで人質となったビアンカと他男女が犯人であるラースたちの肩をもつようになる。確かに警察の対応を見ていると、犯人側につきたくもなる。犯人側は人質を殺さないように警察へ要求をのむように言う。
ただ、警察はそのことを無視して時間稼ぎやガスを注入しようとする。人質からしたら、警察は自分たちの命をどうも思っていないと感じてしまうだろう。ラースたちへ協力する人質たち。ラストは犯人側が降伏したのだが、警察に撃たれないように人質たちでラースを守るシーンが印象的だ。
■ストーリー
何をやっても上手くいかない悪党のラース(イーサン・ホーク)は自由の国アメリカに逃れるために、アメリカ人に扮装してストックホルムの銀行強盗を実行する。彼は幼い娘を持つビアンカ(ノオミ・ラパス)を含む3人を人質に取り、犯罪仲間であるグンナー(マーク・ストロング)を刑務所から釈放させることに成功。続いてラースは人質と交換に金と逃走車を要求し、グンナーと共に逃走する計画だったが、警察は彼らを銀行の中に封じ込める作戦に打って出る。現場には報道陣が押し寄せ、事件は長期戦となっていく。すると犯人と人質の関係だったラースとビアンカたちの間に、不思議な共感が芽生え始める……。
■感想
ふらりと銀行にやってくるとそのまま銃をぶっ放し銀行内部へ立てこもるラース。その際に、人質は最低限としてたてこもる。ここからラースと警察の交渉が始まる。警察署長はやけに横暴で終始ラースに対して余裕をもつような雰囲気をだしている。
大統領からの命令で車に人質を乗せることができないなど、ラースの要求を撥ねつけたりもする。このあたり、人質からすると警察や大統領は自分たち人質の命を第一に考えているわけではなく、世間的に犯人を逃がさないことだけに注力しているように思えてくるのだろう。
ラースはあくまでも人質を無事に家に帰すことを考えている。そのため、警察が煮え切らない態度をとり、いつまでたっても車を用意しないことにいら立ち始めている。人質たちも、ラースといつの間にか親密になり気軽に刑務所生活の雑談をしたりもする。
人質の女のひとりが生理になったからと、タンポンを要求したり。人質分の防弾チョッキを用意し、それを着せて脱出しようとする。警察に対しては、あくまで犯人たちは人質を殺そうとしていると見せかけている。人質たちもそれに協力している。
電話越しで人質はテレビ局と会話したりもする。そこで警察に対する不満や大統領に対する不満まで暴露する。慌てる警察と大統領。もはやこうなると、どうしようもなくなっている。後半の警察の行動を見ると、人質もろとも犯人を殺そうと考えているように思えてくる。
ラースがビアンカを撃ち殺したと見せかけて、ビアンカを逃がそうとしたり。。警察もなんとなくだが、人質と犯人が協力関係にあるように感じているのだろうか。ラストの流れは強烈だ。
本作がまさに「ストックホルム症候群」の言葉の起源になった出来事なのだろう。
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