2022.7.2 歯車で動き機器が緻密な絵で描かれている【スチームボーイ】
スチームボーイ [ 大友克洋 ]
評価:3
■ヒトコト感想
大友克洋監督作品。歯車や機器の緻密な映像がすさまじい。19世紀のイギリスを舞台とした物語で、蒸気機関車が全盛の時期なのだろう。蒸気を利用し何かを動かすことがメインの時代、小さなボールの中に超高圧の蒸気が詰まっており、それを利用することで無限に機器を動作させることができる。今で言うところの無限に電力を発生させる機器のようなものか。
それを巡る争いが繰り広げられており、金属のボールで巨大な城が浮かび上がったりもする。主人公の少年レイが、実の父親と対立しながらボールを奪い取ろうとする。蒸気で巨大な城が動き出す場面は強烈だ。超高圧の蒸気が、そこから冷気に変化させたりもする。蒸気で動作する機器たちの映像のインパクトがすさまじい作品だ。
■ストーリー
19世紀半ば、世界初の万国博覧会を目前にしたイギリス。研究のため渡米中の発明家・父エディと祖父ロイドの帰りを待つレイ少年もまた、発明が大好きな男の子だ。そんなある日、レイのもとに謎の金属ボールが届く。祖父のロイドからだ。すると今度は、父と祖父をアメリカへ招いたオハラ財団の使者と名乗る男たちが現れ、ボールを奪おうとする。自作の一輪自走車に乗り、ボールを抱えて逃げ出すレイ。
だが蒸気歯車メカで追いかけてくる男たちに捕まり、万国博覧会のパビリオンに閉じこめられてしまう。そこでレイはアメリカにいるはずの父エディと再会し、金属ボールの秘密を知る。超高圧力の蒸気を高密度に封じ込めた球体。それは人類の歴史を塗り変える力を秘めた驚異の発明〈スチームボール〉だったのだ! 財団はその力を兵器として世界中に売りさばこうとしていた。
「おじいちゃんは、戦争のためにスチームボールを発明したんじゃない!」レイと財団のボールをめぐる争いは、やがてイギリス軍までが出動する大騒ぎになる。その騒動の中、スチームボールのさらなる秘密が明らかに……。科学とは、人類の希望なのか、それとも禁断の知識なのか。科学の持ちうる真のパワーを信じ、レイは《スチームボーイ》となって大空へ飛びたつ!
■感想
冒頭からレイがいかにも機械いじりが好きな少年という描かれ方をしている。コンピュータがない時代なので、何かを動かそうとすると動力があり、その動力が歯車を伝って動き出す。メインの動力は蒸気であり、そこから動力を伝って歯車が動き、機器が動く。
すべてが緻密に描かれており、その迫力に圧倒されてしまう。序盤ではレイが財団の人間との追っかけっこをする場面があるのだが、そこではいきなりミニ機関車のようなもので追いかけてきたりと、財団のもつ機器の迫力がすさまじい。
レイはさらわれてしまうのだが、連れられてきた先には父親がいた。巨大な城全体がボールの力により維持されている。最終的には蒸気の力で巨大な城が浮かびあがってしまう。この巨大な城が浮かぶ描写はすさまじいインパクトのある映像だ。
レイの父親の機械の手を使って操作をする。ピアノの鍵盤のようなものを操作し、すべてがボールの蒸気からダクトを通じて機器が動く。巨大な城を浮かび上がらせるほどの力のある蒸気はすさまじい。城が吐き出す蒸気は町を凍らせていくのもすさまじい。
全体として緻密な絵がすばらしい。コンピュータ社会ではない、アナログ的な緻密な映像がすさまじい。すべてが歯車の連携で動いていく。レイや財団が操作する機器はどれも個性豊かだ。丸い円の中にレイが入り込みバイク風な乗り物や、カニのようなアームのついた飛行船など。
強烈なインパクトがあるのは間違いない。ただ、ストーリー的にはよくわからず、ラストもそのまま終わっている。絵柄のすばらしさとストーリーがありきたりな部分がアンバランスに感じてしまった。
緻密な絵はすさまじい迫力がある。
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