スパイの妻 [ 蒼井優 ]
評価:3
■ヒトコト感想
貿易会社を営む優作と妻の聡子は、戦争中にも関わらず裕福な生活をしている。常に洋服を着て洋風な生活を続ける夫婦。お手伝いさんもいて巨大な屋敷で生活する。戦時中なので、貿易会社を営んでいると商売相手が海外なので、様々な軋轢がある。また、商売相手がスパイの疑いを受けたりもする。勇作が満州に出張した際に、恐ろしい国家機密を知ってしまう。
ここで勇作は世界に対して日本軍の蛮行を暴露するための行動をとる。聡子の立ち位置が、最初は純粋に国のためを思っての行動のようだが、真にあるのは勇作と一緒にいたいからというのがある。それを知りつつ、勇作はさらに上手で、聡子だけが助かるような行動をとる。二転三転する流れがすばらしい。
■ストーリー
太平洋戦争前夜。時代の嵐が、二人の運命を変えていく。1940年、少しずつ、戦争の足音が日本に近づいてきた頃。聡子(蒼井優)は神戸で貿易会社を営む福原優作(高橋一生)とともに、神戸で瀟洒な洋館で暮らしていた。愛する夫と満ち足りた暮らしを送る中、ある日優作は赴いた満州で、恐ろしい国家機密を偶然知ることとなる。正義のため、事の顛末を世に知らしめようとする。満州から連れ帰った謎の女、油紙に包まれたノート、金庫に隠されたフィルム・・・。聡子の知らぬところで、別の顔を持ち始めた夫、優作。それでも、優作への愛が、聡子を突き動かしていく――。
■感想
裕福な生活を送る勇作と聡子。戦時中に大きな屋敷に住み、お手伝いさんがおり洋風な生活をする。聡子の幼馴染が軍の上官となり、勇作が海外とのつながりがあることを警告する。勇作は正義感が強すぎる。
時代が時代だけに軍隊の締め付けは強い。少しの疑いで逮捕される可能性すらある。勇作が満州から女と共に帰ってきた。この流れを見ていると、一瞬、聡子がいるにもかかわらず勇作が不倫をしていると思わせる流れとなるのだが…。勇作は満州でとんでもない秘密を持ち帰っていた。
聡子の疑いは勇作が満州から持ち帰ったノートを聡子に見せたことで晴れるのだが…。ここで理解できないのが、聡子はそのノートを幼馴染の軍人に見せてしまう。これにより聡子の甥が逮捕され拷問までされてしまう。この聡子の行動は勇作に対する裏切りのように思えたのだが…。
ここからがこの物語の深い部分だ。聡子は甥を犠牲にして勇作の目的を果たさせるためにノートを軍に提出した。軍の目が勇作から離れたことで勇作がアメリカに渡りやすくなり、そこで暴露する計画となる。
優作と聡子の絆は強くなり、ふたりは運命共同体となるのだが…。軍の目から逃れるため、ふたりは別々にアメリカに渡ることになるのだが…。聡子の密航が何者かの密告によりばれてしまう。そこで聡子が持ち出そうとした秘密は…。
すべては勇作の策略だった。最初から、聡子は巻き込まないつもりだったのだろう。この結果を知り、聡子は発狂する。それはそうだろう。運命共同体と思っていた相手が、実は最初から勇作ひとりでことをなそうとしていた。
二転三転する流れがすばらしい。