そして、バトンは渡された


 2024.2.4    女性陣のキャラクターが秀逸だ【そして、バトンは渡された】


                     
そして、バトンは渡された
評価:3

■ヒトコト感想
女性陣のキャラクターが秀逸なので楽しく見ることができる。構成の妙とういか、序盤では森宮さんと女子高生の優子の義理の父娘の二人暮らしと、魔性の女である梨花と義理の娘のみぃたんの物語が交差するように語られている。一見、関係のないようなこの二つの家族が実は…。この構成のネタは見ているとうっすらと感じることができる。そして、中盤にネタばれし、家族の構成がはっきりする。

そこから、なぜそんな複雑な家族となったかが語られるのだが…。これは男女の性別が逆であれば全く楽しめない物語となりそうだ。梨花は自由奔放に再婚し続ける。みぃたんは3人の父親と2人の母親が家族となる。梨花の奔放さがその原因なのだが…。なぜ梨花がそこまで再婚し続けたのかが語られることになる。

■ストーリー
血の繋がらない親に育てられ、4回も苗字が変わった森宮優子は、わけあって料理上手な義理の父、森宮さんと2人暮らし。今は卒業式に向けてピアノを猛特訓中。将来のこと、恋のこと、友達のこと、うまくいかないことばかり…。一方、梨花は、何度も夫を替えながら自由奔放に生きている魔性の女。泣き虫な娘のみぃたんに目一杯愛情を注いで暮らしているようだったが、ある日突然、愛娘を残して姿を消してしまった。

そして、優子のもとに届いた1通の手紙をきっかけに、まったく別々の物語が引き寄せられるように交差していく。「優子ちゃん、実はさ…」森宮さんもまた優子に隠していた秘密があった。父が隠していたこととは?梨花はなぜ消えたのか? 親たちがついた《命をかけた嘘》、《知ってはいけない秘密》とはいったい何なのか。2つの家族が繋がり、やがて紐解かれる《命をかけた嘘と秘密》。物語がクライマックスを迎え、タイトルの本当の意味を知ったとき、極上の驚きと最大の感動がとめどなく押し寄せる――。

■感想
ネタバレを含みます。序盤で早い段階で優子は成長したみぃたんであることはわかる。時代設定の変化がなく大人はそこまで容姿が変化しないので、みぃたんの家族と優子の家族は同時期に存在しているように思わせる流れがある。

優子が森宮と生活するようになったのは、梨花が森宮と再婚し、梨花が行方不明になったから。時間軸が複雑に交差することで、複雑な構成にしている。ただ、シンプルな一つの家族のことを描いているので、ネタバレ後も問題なく楽しめることだろう。

みぃたんが成長すると優子になる。それが明らかになってからは、優子の結婚問題と梨花の行方の話となる。中盤までは梨花、優子、みぃたんとそれぞれのキャラクターの魅力で物語を引っ張っていた。中盤以降は優子単独となり、少しパワーダウンしたような感じだ。

梨花が行方不明になった原因はなんとなく伏線が張られていたので気づいてしまった。梨花と関係のある3人の父親たちは、すべて梨花の秘密を知っていたから梨花の奔放さを許していたと想像したのだが…。意外にもひとりしか知らなかったことに衝撃を受けた。

梨花の役割を男がやったとしたら、とんでもなく文句がでるだろう。次々と再婚を繰り返し最後は娘を捨てて行方不明となる。経済的に男に依存する前提の梨花の行動の数々。梨花のキャラクターがなければ成立しない。ラストは変にお涙頂戴ものにしていないのは良い。

ただ、中盤までの面白さに比べると、後半にかけてだんだんと平凡になっていくのが残念だった。物語の全体にカラリとした明るさがあるのが良い。湿っぽい感じは最低限におさえている。

中盤までは目が離せない作品だ。



おしらせ

感想は下記メールアドレスへ
(*を@に変換)
pakusaou*yahoo.co.jp