静かなる叫び


 2023.5.20    モントリオール銃撃事件の真実【静かなる叫び】

                     
静かなる叫び
評価:3

■ヒトコト感想
実際に起きた事件を描いた作品。まずモントリオールでの銃撃事件があったことを知らなかった。ひとりの男子学生がフェミニストに対しての恨みを女子学生たちにぶつける。犯人の犯行に至るまでの心理も描かれているのだが、今であればSNSに不満を露呈するところを手紙やメモでつづっている。その他、被害にあった女子学生や友人の男子学生などの事件当日の動きも描いている。

教室に突然犯人が入ってきて、男は教室から出され、女子学生だけが教室に残される。明らかに異質な雰囲気をかもしだす犯人。この後、何が起こるかは容易に想像がつく。事件から生き残った二人はそれぞれ心に傷を負い、その後の人生にも大きな影響を及ぼすのは当然のことだろう。

■ストーリー
1989年12月6日、モントリオール。理工科大学に通い、就職活動中の女子学生ヴァレリーとその友人であるジャン=フランソワは、いつも通りの一日を送っていた。しかし、そんな日常は突然、恐怖に陥れられる。男子学生の一人がライフル銃を持って構内に入り、女子学生を目がけて次々と発砲し始める。容赦ない銃撃に必死に逃げ惑う学生たち。犯人は14人もの女子学生を殺害し、最後は自殺を図る。重傷を負いながらも生き残ったヴァレリーと、負傷した女子学生を救ったジャン=フランソワ。心に深い傷を負った2人は、その後も継続する非日常の中でもがき苦しみ、闘い続けるが――。

■感想
モントリオール理工科大学で起きた事件を描いた作品。犯人の心情が描かれているのだが…。自分が理工科大学の受験に失敗したのは女性の進出で、自分が座るべき椅子が他の女性に奪われたためという極端な思い込みにより実効されている。

そのため、襲撃対象は女性ばかりとなっている。犯人の心情は強烈なものがある。ノートに恨みを書き綴り、もはや生きることを放棄している。ライフル銃をもち大学内をうろついて最初に授業をしている教室に入り、女性だけを教室に残し殺害する。強烈なインパクトがある。

男だからと教室から出された者の中でジャンは残された友人を助け出そうと教室に戻るのだが…。そこでは倒れた女子学生たちがいる。ジャン視点では犯人が次々銃撃していった女性の中で、助かりそうな者を助けようとしている。

ただ、ジャンは無力感から自分を責めている。その結果、事件後には自殺することになる。強烈な事件の生き残りは、その後の人生に大きな影響を与えることは間違いない。犯人が現れると大学内はパニックになるのだが、ひとたび爆音響く教室に入ると、何もないように日常の時間が流れているのが衝撃的だ。

教室に残され銃撃をうけたヴァレリーは負傷したが生き残ることができた。犯人は女性だけを狙っている。カフェで学生たちがたむろしている場では、女性だけを狙い逃げる男は無視している。圧倒的な恐怖の前に大多数の学生たちは何もできず逃げまどうしかない。

雪の降る中、割れた窓ガラスから這い出すように外にでて、雪の中を疾走する学生たちのシーンは印象的だ。対して犯人は冷静にゆっくりと歩きながら女性を探し、見つけ出すと銃撃し、最後には自殺している。

恐ろしいまでのリアルさだ。



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