シチズンフォー スノーデンの暴露


 2024.2.13    すさまじい覚悟の告発【シチズンフォー スノーデンの暴露】


                     
シチズンフォー スノーデンの暴露/(ドキュメンタリー),ローラ・ポイトラス,スティーヴン・ソダーバーグ
評価:3

■ヒトコト感想
アメリカ政府がすべての通信を傍受し国民の情報を秘密裏に収集していた。この衝撃的な事実を暴露したのがスノーデンなのだが、ドキュメンタリーとしてスノーデンと最初に会話をした映像を含めて収集されているのに驚いた。最初からドキュメンタリーとして作る前提だったのか、それともエビデンスとして残すために撮影したのか。。

自分が指名手配されるのを覚悟してのスノーデンの内部告発。下手すれば命の危険すらある状況での告発だ。世間的にはアメリカは通信傍受しているだろう、という認識はあったが内部のCIAの職員が内部資料と共に告発したのが大きい。政府は何かと言い訳を並べてはいたが…。驚きなのはそのシステムだ。1秒間に125Gバイトのデータの収集が可能というのは強烈だ。システム1台で数億人の情報を収集できる。どれほど巨大なシステムなのだろうか。

■ストーリー
イラク戦争についてのドキュメンタリー映画で高い評価を得る一方、米国当局からの監視や妨害を受けてきた気鋭の映画監督ローラ・ポイトラスは、2013年初め、“シチズンフォー"と名乗る人物から暗号化されたメールを受け取るようになる。それは、NSA(国家安全保障局)が米国民の膨大な通信データを秘密裏に収集している、という衝撃的事実を暴露するものだった。ローラは“シチズンフォー"に会うため、旧知のジャーナリスト、グレン・グリーンウォルドとともに香港へ飛ぶ。

そこでふたりを待っていたのは、元CIA職員エドワード・スノーデン。彼の口から明かされた驚くべき真実とは―。なぜ彼は自らの身の危険も顧みず、この告発を決意したのか―。そして、緊迫した状況の下、ローラとグレンはいかにしてジャーナリストとしての使命を果たす戦いに挑んだのか―。

■感想
NSAは巨大なデータ傍受を行っている。暗号化メールからスタートした本作。スノーデンがそのまま登場しすべてを暴露する。本作はドキュメンタリーとしてスノーデンとの最初の出会いからすべて映像化されているのがすばらしい。

NSAの秘密を暴露するということは、どのような意味があるのか。世間に事実を知らしめること。このことによってアメリカ政府が通信傍受を止めるかというと、そうはしないだろう。テロを防ぐという建前はあるのだが、実際には別のことを目的として通信傍受しているのがほとんどだ。

ジャーナリストであっても安全ではない。香港のホテルでスノーデンを取材しているのだが、スノーデンが情報漏洩の元だと知った瞬間に、アメリカ政府はスノーデンを見つけ出そうと必死になる。ジャーナリストからスノーデンの居場所を見つけ出す可能性もある。

結局はスノーデンはロシアに亡命している。アメリカ政府としては今後、同じような内部告発を防ぐためにもスノーデンを逮捕し裁判で正式に有罪とする必要があるのだが…。スノーデンを弁護するものたちが、アメリカ政府は意地でもスノーデンを有罪とすると考えているのが衝撃的だ。

アメリカ政府の秘密を内部告発するということは、すべての人間関係などをリセットするほどの覚悟が必要なのだろう。このスノーデンの告白がどの程度、その後の世界の情勢に影響を与えたのか。スノーデンが暗殺されたとか、逮捕されたという話は聞かないので、うまく逃げおおせているのだろう。

当時の情報としてスノーデンという名前は聞いたことがあるが、具体的に何をやった人物かというのは知らなかった。ここまでの覚悟をもって告発したことが強烈だ。

ドキュメンタリーとしてのインパクトはすさまじい。



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