シルクロード.com-史上最大の闇サイトー [ ジェイソン・クラーク ]
評価：3
■ヒトコト感想
本作が実話ということに驚かされた。頭の良い若者が世界を変えたいと勘違いし、誰でも違法薬物を買うことができる違法サイトのシルクロードを立ち上げる。アマゾンの違法版とでもいうのだろうか。支払いはすべてビットコインで行い、身元がばれない暗号通信を使い全世界へ展開する。熱狂的なブームがくると警察にマークされるのだが…。
本作のポイントはサイバー犯罪課が必死になっても正体をつかめない存在を、引退まぎわのアナログ刑事が昔ながらの手法で犯人に近づいていく部分だ。サイバー犯罪課を出し抜く形のアナログ刑事。自分の情報をサイバー犯罪課の上司に知らせようとしたが、取り合ってくれないので、自らの利益を得ることに走る。。。
■ストーリー
世界を揺るがした驚愕の実話。「世界を変えたい」─天才的な頭脳に恵まれたロスは、自由な世界を求め、表では絶対に買えない違法物を匿名で売買できる闇サイトを立ち上げた。<シルクロード> と名付けたサイトは、瞬く間に熱狂的なブームを巻き起こし、栄華を極める。ハデな動きですぐに警察にマークされるが、ロスは絶対に身元がバレない強固なシステムを創り上げていた。そんなロスを追う捜査官の中に、一人のはぐ れ者がいた。
リック・ボーデン、問題行動を起こし、麻薬捜査課からサイバー犯罪課へ左遷された男だ。アナログ全開で足手まといのリックだったが、独自の捜査でロスとの接触に成功する。 リックが考えた驚愕の捜査方法とは?そして二人を待つ運命とは─?
■感想
引退間近のロートル刑事であるリック。現場大好きな昔ながらの刑事ではあるが、現場を外され書類作業をやらされ、最終的には役に立たないであろうサイバー犯罪課へと移動させられる。そこでもPCを触ったことないリックは戸惑うばかりで戦力にならない。
周りもリックはいないものとして考えている。実際にシルクロードという違法薬物を売買できるサイトが存在しているのはありだとして、それを摘発する過程でリックのようなアナログの刑事が実は一番に犯人を見つけていたことに驚いた。
頭脳明晰で世界を変えたいと考える男ロス。若者にありがちな、自分は何でもできるという強い思い込み。最初は遊びで始めたシルクロードがたちまち話題となる。仲間たちからは危ないと忠告されていたのだが、ロスはやめることができない。
大量の資産はすべてビットコインで保有しているのだが、協力者がリックに見つかってしまい、そこからロスの正体がばれることになる。リックのようなアナログ刑事が昔ながらのおとり捜査で自ら違法薬物を買うことでロスとのアクセスに成功する場面はすさまじいインパクトがある。
サイバー犯罪課の手がロスに迫る。それを知ったリックは、サイバー犯罪課の上司を痛い目に合わせるためロスに情報を流してしまう。すさまじい展開だ。別人のふりをしてロスを脅してロスから大金をふんだくったりもする。リックはサイバー犯罪課の情報をロスに小出しにしながら、逮捕が迫っていることを知らせる。
それでも、自分とロスのチャットの履歴が残っていることを知り、最後には覚悟を決めているのがすさまじい。何かすべてを達観しているような雰囲気がリックにある。
リックの存在が本作を面白くしている。