死刑にいたる病


 2024.8.3    阿部サダヲのサイコパス演技がすさまじい【死刑にいたる病】


                     
死刑にいたる病 [ 白石和彌 ]
評価:3

■ヒトコト感想
恐ろしくなる物語だ。まず冒頭登場してくる世間を逃げわした殺人鬼・榛村だ。パン屋を経営しており、そこに訪れる高校生などを拉致して拷問して殺害する。榛村と知り合った者は、ほぼすべての人物が榛村に対して好感をもつ。榛村を演じる安倍サダヲがサイコパスの雰囲気を存分に表現している。大学生の雅也は榛村からの手紙から事件を調査し始める。

物語の後半では、榛村は雅也の父親ではないか?という疑問がわいてくる。雅也の精神的な不安定部分が物語のカギとなっている。それと共に、榛村が犯してきた罪は非常にグロテスクで吐き気をもよおしてくる。このサイコパスが平然な顔をして看守に対しても人間的魅力をアピールする場面は強烈だ。

■ストーリー
ある大学生・雅也のもとに届いた一通の手紙。それは世間を震撼させた稀代の連続殺人鬼・榛村からだった。「罪は認めるが、最後の事件は冤罪だ。犯人が他にいることを証明してほしい」。過去に地元のパン屋で店主をしていた頃には信頼を寄せていた榛村の願いを聞き入れ、事件を独自に調べ始めた雅也。しかし、そこには想像を超える残酷な事件の真相があった―

■感想
対象者に近づき、瞬く間に親しくなる。相手は真面目で黒髪で成績の良い高校生ばかり。相手の心を開かせると、そのまま拉致し爪をはぐなどの拷問を行い殺してしまう。まさに鬼畜のような男が殺人鬼・榛村だ。殺人が公となり裁判にかけられる榛村。

ここで拘留中の榛村は雅也に一通の手紙を送る。普通の大学生なら連続殺人犯から手紙が送られてきても無視するだろう。雅也はなぜか手紙に惹かれてしまい、榛村に面会に行くことになる。この時点で明らかに雅也には何か普通ではない雰囲気が漂っている。

雅也は大学で浮いている。なぜ浮いているのかの理由は説明されない。明るく楽しく大学生活を送るタイプではない。榛村に魅了され、榛村の事件を調査する。榛村が1人の殺人だけは無実だと語るのだが…。榛村にそこまで雅也がこだわるのが不気味だ。

調査していく中で雅也の母親と榛村の関係も明らかとなってくる。ここが物語のピークなのだろう。雅也は自分が幼児期に虐待をうけていたことや、父親から辛い対応をされてきたことを思い出し、様々な予想をしてしまうのだが…。

雅也の精神は不安定となっている。結局、榛村が何をやりたかったのかはよくわからない。榛村が雅也に手紙を送った理由もあいまいなまま物語は終わっている。主演の安倍サダヲの能面のような表情が印象的だ。なぜこんな男に次々と人々が魅了されていくのかわからない。

サイコパスの気持ちはわからないのがはっきりと理解できた。雅也はもしかしたらその気があったのかもしれない。雅也が恋人と過ごす最後の場面も意味ありげなラストとなっている。

連続殺人犯が気持ち悪すぎる。



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