しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス


 2022.8.29     リウマチ持ちの女と頑固おやじの夫婦【しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス】

                     
しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス [ サリー・ホーキンス ]
評価:3

■ヒトコト感想
実在の人物を描いた作品。モードは重いリウマチを患っているため、ひとりで生活することができない。序盤のモードの状況というのはかなり厳しい。叔母と一緒に生活してはいるが、自立できず悩んでいる。そんな時に家政婦募集の情報を聴き、エベレットの家にやってくるのだが…。

このエベレットが昔ながらの頑固親父でいかにもとっつきにくい。モードを召使いのように扱う。エベレットからすると、リウマチ持ちの女が家政婦としてやってきて不満があり、モードとしては他に行き場所がないので、耐え忍びながらエベレットの家で家政婦として働く。後半になり、モードの絵が売れ始める流れと、エベレットとの関係が改善する流れが良い。

■ストーリー
カナダの小さな港町で叔母と暮らすモードは、絵を描くことと自由を愛していた。ある日モードは、魚の行商を営むエベレットが家政婦募集中と知り、自立のため、住み込みの家政婦になろうと決意する。幼い頃から重いリウマチを患い厄介者扱いされてきたモードと、孤児院育ちで学もなく、生きるのに精一杯のエベレット。はみ出し者同士の同居生活はトラブル続きだったが、徐々に2人は心を通わせ、やがて結婚。

一方、モードの絵を一目見て才能を見抜いたエベレットの顧客サンドラは、彼女に絵の創作を依頼。モードは期待に応えようと、夢中で筆を動かし始める。そんな彼女を不器用に応援するエベレット。いつしかモードの絵は評判を呼び、アメリカのニクソン大統領からも依頼が来て……。

■感想
モードの状況というのは、かなり周りから虐げられてきたというのがよくわかる。重いリウマチでまっすぐ歩くことができない。常に顔が斜め下を向いているような猫背。客観的に見て、モードがひとりで生活することは難しいように思えた。

自立を夢見るモードが家政婦として仕事をしようと考える。エベレットもまた強烈だ。明らかに癖のある風貌で漁師ではあるが、他者に対して厳しくあたる。モードの姿を一目見てまともに働けるか?と厳しい言葉を投げつける。エベレットのとんでもない人間性も本作のポイントだ。

住み込みで家政婦として働くモード。ここで驚きなのは、ベッドがひとつしかないので、エベレットと同じベッドでモードが眠るということだ。家政婦なんか雇える立場ではないエベレットだが…。何かと支配的でボスであるエベレットの言うことは絶対という立場を貫くエベレット。

モードは渋々従うのだが…。モードが書いた絵が売れ出すと、それに値段をつけて売り出そうとするエベレット。ある意味、モードの能力を搾取している感じだが、それを幸せに感じているモードが良い。

なし崩し的に夫婦となるエベレットとモード。モードの絵が売れ始め、ついには副大統領までもがエベレットの絵を手に入れようとする。マスコミに報道され大騒ぎとなる。エンディングではモードとエベレットの実際の映像も流れてくる。

このふたりだけしかわからない関係性があるのだろう。実はモードの子どもは、モードひとりでは育てられないと兄が勝手に子供を売っていたというのが衝撃だ。田舎の頑固親父の元に家政婦としてやってくるということだけで衝撃的だ。

ふたりの夫婦関係はなんだかんだとうまくいっていたのだろう。



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