湿地


 2022.12.6     アイスランド発のジメっとしたミステリー【湿地】

                     
湿地 [ イングヴァール・E.シーグルソン ]
評価:2.5

■ヒトコト感想
ミステリー作品。アイスランドの作品なのが珍しい。アパートで発見された老人の死体から物語がスタートする。湿地というタイトルどおり、終始陰鬱な雰囲気があたりを包んでいる。30年前のレイプ事件が現在の老人殺害に繋がるのか。刑事のエーレンデュルが事件を捜査する。老人の過去とそこに繋がる様々な者たち。

小さな田舎町でセンセーショナルな事件となる。過去に死んだある女性の死因が問題となり、墓を掘り起こすと脳だけが何者かに盗まれていた。遺伝性の脳の病気と、それを遺伝する老人が殺された。終盤では怒涛の謎解きが待っている。湿地というタイトル通り、沼地に建てらえた家のため、床下が腐っておりそこに死体を隠していたというのは強烈な気持ち悪さがある。

■ストーリー
10月のアイスランド・レイキャヴィク。北の湿地にあるアパートで老人の死体が発見された。エーレンデュル警部が現場に向かうと、強盗の痕跡は無く、顔見知りの人物による突発的な殺人事件と見られた。しかし現場に残された3つのメッセージを元に捜査を進める内に、次第に明らかになる老人の隠された過去。それは、小さな町中を巻き込む一大スキャンダルと、ある一族が抱える哀しくも怖ろしい運命に辿り着くのだった・・・。

■感想
アイスランドの作品。湿地の上に建つ家で老人が殺されていた。動機を含めて調査を続けるエーレンデュルは、過去に老人が様々な女子をレイプしていたことを知る。過去の恨みからの反抗か。30年も前のレイプ事件を調査するのは難しい。

次の手段としては、老人に恨みをもつ他の人がいないかを調査するのだが…。ある女性の死因が問題となり、墓を掘り起こす場面が強烈だ。なぜか脳だけが抜き取られていた。湿地というタイトル通り、すべてがジメっとした湿気にまみれた雰囲気となっている。

殺された老人は脳に遺伝性の病気を持っていた。冒頭に、幼い少女が病気で死ぬ場面がある。実はこの少女も遺伝性の脳の病気で死んでいた。となると、その病気が老人殺害の動機だろうと想像できる。どのような流れとなるのかは最後まで判明しない。

エーレンデュルが実は娘との関係が悪く、悩みをもつのも本作のポイントだろう。印象的なのは、エーレンデュルの食事シーンだ。羊の頭を注文するシーンがあり、持ち帰り家で食べているのだが…。羊の頭の肉を食べているようだ。

アイスランド作品というのが特殊なのだろう。老人がレイプした女の子どもたちに脳の遺伝性の病気が遺伝した。その病気で娘が死んだ男が老人に対する恨みでの行動だった。湿地というタイトルから想像したよりも特殊な作品だ。

湿地というタイトルを一番に感じたのは老人の家の床下が湿地のために腐っており、多くの死体が隠されたいた場面だ。ミステリアスな要素よりは全体のジメっとした雰囲気が物語のすべてを包んでいる。

特殊なミステリー作品だ。



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