シー・セッド その名を暴け


 2023.10.25    Me Too運動のきっかけとなった出来事【シー・セッド その名を暴け】

                     
SHE SAID/シー・セッド その名を暴け [ マリア・シュラーダー ]
評価:3

■ヒトコト感想
#Me Too運動が爆発したきっかけとなった出来事を描いている。ハリウッドの重鎮であるワインスタインが過去に数々の性犯罪事件を起こしており、それをもみ消してきた。被害に合った女性たちは示談に応じており金を受け取っている。そのため証言すれば訴えられる危険性がある。取材したNYポストの記者たちが現実を知る。

過去の屈辱的な事件を思い出すのも辛い状態の女性たち。さらには示談しているという負い目から名前を出しての告発を戸惑う。悪しき慣習を世に示すために活動する記者たちの行動力がすさまじい。情報を集めた後に、ワインスタインに記事について弁明の機会を与える。そこでのワインスタインの往生際の悪さがすさまじく印象に残っている。

■ストーリー
2017年、ニューヨーク・タイムズ紙に衝撃のスクープが掲載された。のちに“性犯罪告発運動”#Me Too運動を爆発させたハーヴェイ・ワインスタイン事件。取材を進める中で、ワインスタインは過去に何度も記事をもみ消してきたことが判明する。さらに、被害にあった女性たちは示談に応じており、証言すれば訴えられるため、声をあげられないままでいた。問題の本質は業界の隠蔽構造だと知った記者たちは、調査を妨害されながらも信念を曲げず、証言を決意した勇気ある女性たちと共に突き進む。そして、遂に数十年にわたる沈黙が破られ、真実が明らかになっていくー。

■感想
ハリウッドの大物にセクハラをされた女性たち。NYポストの記者が、被害者が大量にいることをかぎつけ取材する。Me Too運動が話題になったのは知っていた。そのきっかけになった事件を描いている。昔から映画界は何かと権力者に力が集中する流れがある。

映画に出演するために自分を犠牲にする女性たち。純粋に俳優として売れるために我慢する女性もいれば、スタッフとして雇われていただけにも関わらずワインスタインに誘われた女性もいる。まさにあたりかまわず手をだしているという感じだ。

作中では有名女優の名前も登場してくる。ただ、そこにはギブアンドテイクな臭いを感じてしまう。作中ではセクハラされたスタッフの記事がメインとなっている。大昔の出来事だが、示談したとはいえ事実だったのかを記者が取材する。

今はまったく別の仕事をしているとしても、過去の辛い記憶を掘り起こされるのは辛いのだろう。何も知らない今の旦那さんに知られるのも辛いのだろう。証言者の中には、乳がんの手術をするからと思い切って名前を出す者もいる。

ワインスタインを追い込む場面がすさまじい。記事をワインスタインへ送り、弁明のチャンスを与える。そこでワインスタインは脅しの言葉を続ける。ただ、NYポストの記者たちもそれらに慣れているのだろう。毅然とした態度で時間制限を設けて回答を待つ。

告発した女性の中には、もしかしたら示談の内容を破ったということで訴えられる危険性もある。ただ、世の中にセクハラの事実を明らかにすることで、世間的にMe Too運動が大きくなる。これこそが女性たちの目的だったのだろう。

衝撃的な作品だ。



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