正義のゆくえ I.C.E.特別捜査官


 2022.3.18      移民社会ならではの作品【正義のゆくえ I.C.E.特別捜査官】

                     
正義のゆくえ I.C.E.特別捜査官ち
評価:3.5

■ヒトコト感想
アメリカの移民政策の問題を描いた作品。驚きなのは、不法滞在者が当たり前に存在する世界だということだ。ごく普通に生活していた女子高生が、ある日のちょっとした作文発表から絶望の淵に落とされる。移民局に所属するマックス目線や、移民たちをサポートする弁護士や、グリーンカードを承認する弁護士など、様々な人々の目線から移民たちの辛い立場が描かれている。

誰も幸せになっていない。移民が当たり前の国なので、移民が身近にいることは日常なのだろう。マックスも、理不尽なことと知りながら、不法移民たちを摘発するために動き出す。グリーンカードの入手直前で問題を起こす場面など、なぜ?と思わずにはいられない流れだ。

■ストーリー
ロサンゼルス―南北アメリカの国境近く、東洋と西洋が交差するこの街には、夢を追ってきた若者、一家で移住してきた家族、そして無断で国境を越えてきた不法就労者まで、あらゆる人種が集まってくる。マックスは移民局I.C.E.に所属するベテラン捜査官。不法滞在者の取締りが任務だが、正義感が強く良心的なために、彼らの立場に同情的だ。母親の逮捕後に取り残された幼い子供が気になってメキシコに送り届けるなど、つい彼らの面倒をみてしまう。そんなある日、同僚の捜査官の妹が殺される。遺品の服に偽造グリーンカードを発見したマックスは、独自に調査を始めるのだが……。

■感想
女優の夢を追いかけるオーストラリア出身の女性はグリーンカードを審査する弁護士と出会い、体を売ることで永住権を手に入れようとするのだが…。結局、悪いことを考える者は、その報いが来るのだろう。ちょっとしたほころびからすべての夢が消え去ってしまう。

移民局のマックスが捜査する中で、真面目に働いて家族を養っていた女性は、移民局から逃げる過程で、国境付近で暴漢に襲われ死んでしまう。そのまま移民局に見つからなければ子供もいて幸せな生活を送っていたはずが…。

最も衝撃的なのは、イスラム系の女子高生だ。作文の時間でテロ犯の考え方も理解すべきだ、という考えを述べたところFBIから目を付けられ、不法移民ということがバレてしまう。両親も不法移民だが、アメリカで生まれた弟と妹はアメリカ国民となる。

そのため、女子高生と両親のどちらかひとりが国外退去すれば、片親は不問にすると言われる。ちょっとしたことから、女子高生の人生は崩壊する。父親や兄弟たちと離れ離れになる空港のシーンはあまりにも衝撃的すぎる。

マックスの同僚も移民局で勤務し、移民としてグリーンカードを入手直前であった。コンビニ強盗の中で韓国から移民してきた少年が、明日、グリーンカードを得る儀式があるという。その直前で事件を起こし移民局の男に銃を突きつけられる。

もはや絶体絶命かと思いきや、同じ移民の仲間ということで少年は見逃されるのだが…。作中で唯一と言ってよい、未来に向けて良い流れだ。逆に移民局の男は、弟が殺人事件を起こしていたことを黙認しグリーンカードを得る儀式を受けていた…。

移民社会ならではの作品だ。



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