2022.12.20 宇宙ステーション内部で火災発生!【サリュート7】
サリュート7 [ ウラジーミル・ヴィドヴィチェンコフ ]
評価:3
■ヒトコト感想
ロシアの宇宙ステーションであるサリュート7を元にした作品。一部が実話でドラマチックな部分はフィクションなのだろう。冷戦の真っ只中に宇宙開発でリードしていたソ連の宇宙ステーションが故障した。地球へ落下させるしかないかと思われた時、宇宙船をドッキングさせサリュート7を修理するという物語だ。
回転するサリュート7にドッキングするのが難しいことは確かで、それを成功させたのは事実なのだろう。その後、内部で火災が起きたり操作不能となったり。二人の宇宙飛行士のうち酸素の残量の関係でひとりしか帰れないなど、ドラマチックな展開が待っている。宇宙ステーションでの描写がすばらしく、米ソ冷戦の雰囲気も強烈に描かれている。
■ストーリー
ロシア初の宇宙ステーション、サリュート7号。1985年、サリュート7号が突如消息を絶った。こちらの呼びかけに応じず、操縦もできない。このままでは地球に落下してしまう危険性がある。唯一の手段はステーションに宇宙飛行士を送り込んで手動ドッキングをし、直接修理することだった。選ばれたのはサリュート計画当初から関わってきた技師ヴィクトルと、既に退役していたパイロット、ウラジーミルの2名。無事サリュート7号に到着し無人のステーション内部で彼らが見たものは、内部が氷付けにされ、すべての機能が停止していたサリュートの姿だった。果たして彼らは、このミッションをクリアできるのか。
■感想
サリュート7が制御不能となり、このままでは地球に落下させるしかなくなった。ソ連が最も恐れるのは、アメリカにサリュート7を奪われること。サリュート7を救うために宇宙船を宇宙ステーションにドッキングさせるのだが…。
実話を元にした本作。当時、冷戦の最中ではあるが、さすがにサリュート7を奪うためにアメリカがスペースシャトルを飛ばすというのはやりすぎだろう。サリュート7との接続の困難さが描かれており、それを見事に成功させるのが前半の山場かもしれない。
中盤以降ではサリュート7の内部での修理描写が続く。太陽光発電が停止しており内部が雪で覆われている。宇宙で雪を溶かして水となるとどうなるのか。そして、宇宙空間に浮かぶ水滴のひとつで宇宙船内部が火災になることもあるのだろう。
火災はフィクションではあるが、宇宙空間での描写がすばらしい。壊れたサリュート7を修理する中で様々なトラブルがある。電源を回復させるためには太陽の方向へ発電パネルを向けるセンサーを覆う壊れた鉄の塊を外す必要があるのだが…。
修理ができないとなると、地球へ戻る必要があるのだが…。残りの酸素残量からひとりしか地球へは帰れない。このあたりはフィクションなのだろうが、アルマゲドン的に地球の家族と最後の別れのシーンはドラマチックだ。ひとりしか帰れないことを受け入れないメンバー。
選択したのが、センサーを覆う鉄の塊を外して電源を回復し二人で救出を待つという方法だ。失敗すれば二人とも死ぬ。このあたりは、実際にサリュート7を修理したのと同じ流れなのかもしれない。
宇宙ステーション内部の描写がすばらしい。
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