最高の人生のはじめ方


 2023.9.10    人生に行き詰った老人が変わる【最高の人生のはじめ方】

                     
最高の人生のはじめ方 [ モーガン・フリーマン ]
評価:3

■ヒトコト感想
モーガン・フリーマン主演の人生を考える系の作品。車いす生活の小説家。アル中で小説を書く意欲もない、日々孤独な生活を続ける男モンテ。引っ越し先の避暑地で、隣人であるシングルマザーのシャーロットとその娘たちとの交流を続けることで変わっていく。モンテは客観的に見るととっつきにくい老人だ。

左手が麻痺して動かなくなり、創作活動もしていない。言葉の端々では常に皮肉が登場してくる。シャーロットの娘たちの純粋な気持ちに感化されモンテは変わっていく。シャーロットの娘たちが良い。気難しい車いすの老人に対して積極的に話かける。娘たちの純粋な問いかけや思いに対して、モンテは自分の考えを変えていくことになる。定番的ではあるが優しい気持ちになれる作品だ。

■ストーリー
モンテ・ワイルドホーン(モーガン・フリーマン)は著名な小説家。しかし今はアルコールに溺れ、創作活動への意欲も失い、孤独な日々を過ごしている。このままではいけないと思い悩んだ彼の甥であるヘンリー(キーナン・トンプソン)は、避暑地で夏を過ごし、何とかしてモンテの執筆への意欲を取り戻させようと働きかける。そして運命とも言えるその場所で、彼は魅力的なシングル・マザーであるシャーロット(ヴァージニア・マドセン)と3人の娘たちと交流を持つようになる。彼女達のひたむきさに触れ合ううちに、創造性、優しい心を徐々に取り戻していくことになるのだが…。

■感想
モンテは著名な小説家ではあるが、過去の人という扱いを受けている。モンテの作品を読んだと声をかけてくるのは老人たちばかり。車いす生活で左手が動かない。日々酒を飲む生活を続けており、ダメ人間へ一直線と思われたのだが…。

過去の栄光がある者は、それにすがるか、過去を超えられないから小説を書こうとしないパターンがある。モンテはひねくれた老人らしく、何かにつけて皮肉を言う。相手は苦笑いするのだが…。引っ越し先の隣人にシングルマザーのシャーロット家がいたことが幸運の始まりかもしれない。

シャーロットの3人の娘たちが良い。小説家であるモンテの想像力に憧れ、自分たちも様々な想像をする。シャーロット家の内部でもそれなりに問題はある。離婚した父親が子どもたちに会いにこないのは、母親がいるからだと長女は考えている。

次女は純粋な心でモンテと接する。近所には知能に遅れのある青年がおり、モンテと交流をもつ。それらの人々と交流をもつことでモンテは変わっていき創造性をとりもどす。片手で必死にタイプライターを打つモンテの姿は心打たれるものがある。

モーガン・フリーマンが人生を諦めた老人の役をやっているのはいくつかある。それらと同様に偏屈で皮肉に満ちた老人の演技はさすがとしか言いようがない。シャーロットの娘たちは、純粋な言葉を紡ぐ。モンテからすると娘たちの純粋さに影響されている。

タイプライターを部屋に置くことすら嫌がった引っ越し当初から考えると大きい変化だ。酒をボトルで飲む生活だけはギリギリ回避していたモンテが、最後には軽く飲む程度でおさえている。

人生に行き詰った人が見るのが良いのだろう。



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