サーカスの夜に (新潮文庫) [ 小川糸 ]
評価:2.5
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■ヒトコト感想
13歳の少年がサーカスに入団し、サーカスでの様々な経験をする物語だ。身長がこれ以上伸びない少年がサーカスに入り自分の居場所を見つける。。。個性的なサーカス団であり、そこで何も芸がない少年は自分の居場所を見つけるため、最初はひたすらトイレ掃除をする。どんな材料や野菜のカスであっても料理に使うコック。
ハイヒールを履いて綱渡りをする元男の美人団員。空中ブランコで空を飛ぶペンギンなど、多種多様な団員たちによりサーカスは成り立っている。サーカスの中で自分の存在感を示そうと綱渡りをする少年なのだが…。少しの油断と足を踏み外した場合は、死の危険性がある。サーカスは普通の場所とは異なりかなり特殊な状況であることは間違いない。
■ストーリー
両親の離婚でひとりぼっちになった少年は、13歳の誕生日を迎え、憧れのサーカス団・レインボーサ ーカスに飛び込んだ。ハイヒールで綱の上を歩く元男性の美人綱渡り師、残り物をとびきり美味しい料理に変える名コック、空中ブランコで空を飛ぶ古参ペンギンと、個性豊かな団員達に囲まれて、体の小さな少年は自分の居場所を見つけていく。不自由な世界で自由みちに生きるための、道標となる物語。
■感想
成長が止まる病気を患った13歳の少年。レインボーサーカスにおしかけ、そこで生活させてもらえるように頼むのだが…。少年はサーカスでの芸が何もできない。自分の居場所を見つけろと団長に言われるのだが…。
ここで少年が動き出す。自分の目で見てサーカスの問題を判断し、それを改善しようとする。サーカスのトイレが究極に汚いので、それを少年が必死にきれいに掃除をする。周りの団員たちは、特殊だがサーカスでの芸をもっている。サーカスに入団するにはそれなりの技術が必要なのだろう。
元男性でありながら見た目は美人な団員がハイヒールを履いて綱渡りをする。元男性ということを無視しても、きれいな女性がハイヒールで綱渡りをするのはサーカスにとって大きく盛り上がるのだろう。それ以外には空中ブランコを行う古参のペンギンもいる。
このペンギンがミスをして空中ブランコから落ちて死亡する。過去に動物たちが大暴れをしてレインボーサーカスで不幸な事故が起きたことがある。それらを少年は団長から聞くことになるのだが…。サーカスが特殊な場所であることが改めて思い起させられる部分だ。
ラストは少年がサーカスの団員として芸を学ぶまでが描かれている。綱渡りをすることの危険はそれまでに十分描かれているが、だんだんと高い場所にロープを張って綱渡りをしようとする。サーカスの団員として認められるためにはどのようなことをすればよいのか。
サーカスの過去を知り、別のサーカスのすばらしさを知った上でレインボーサーカスに居続けることを選択する。強烈なインパクトはないのだが、中学にも通わずにサーカスで生活するのはかなりの破天荒な人生だ。
作者の作品としては異色な部類に入るのだろう。