龍の仮面 上 


 2022.12.5      中国に対してのCIAの工作 【龍の仮面 上】

                     
龍の仮面(上) 徳間文庫/佐々木敏(著者)
評価:3
■ヒトコト感想
時代的な背景があるのだろうが、CIAが中国に向けて工作活動を実施する。中国の将来有望な男に近づくために整形をした女性エージェントがメインとして語られtいる。整形で完全にターゲットの好みになるように容姿を変更し、相手に入り込む。学生として近づき、そしてその後の中国の改革にも入り込む。中国共産党や中国の国民、また台湾との関係などが詳しく語られている。

ウイグル自治区と共産党の関係も語られており、のちに問題となる中国の暗部が本作で語られている。台湾を国として承認するのか。2008年の北京オリンピックの招致に向けた流れや、世界での中国の立ち位置など、中国メインで語られており、それをCIA工作員が裏工作する物語だ。

■ストーリー
1995年、CIAは2005年のXデーへ向け対中国工作を開始。第一歩は、女性エージェントを潜り込ませることだった。過去を消され新しい美貌を得た彼女のコードネームは、エリカ・ブルンヒルド。1999年5月彼女は中国海軍少佐孔義済と接触する。

■感想
CIAの中国工作を描きつつ、当時の中国の問題をわかりやすく描いている。中国は歪でいつ崩壊してもおかしくない。中国を抑えているのは共産党ではあるが、北京オリンピックを控え、世界に対して民主的な部分を見せる必要がある。

CIAの工作員となる女性エージェントを主人公としている。序盤では女性エージェントがターゲットの好みの顔となるために整形を行う部分が描かr手いる。中国の重要人物の愛人となることでCIAの思い通りに中国を操ろうとする。まさに現在のCIAがやっていそうなことだ。

学生として近づき、そして同じように勉強し人脈を築く。まさに相手の懐に入り込むにはうってつけの流れなのだろう。物語は中国が変革の時を迎える部分をリアルに描いている。台湾の独立を認めようとする欧米諸国。

北京オリンピックも控えており、さらには共産党内部には腐敗がはびこっている。すべてを一新するためにクーデターを起こそうとする。このクーデターがまさに現代的というかITを駆使したものとなっている。中国の問題が掘り下げられており、それが実際に現在でも問題となっている。ある意味予言的な作品だ。

ウイグル自治区の問題は大きい。そして、台湾の問題までも。。。共産党を改革するためには、CIAの協力者を中国内部に作り、その実力者を中国のトップに据えようと考えるのは自然なことだ。内部から中国を変えるのは正しいのだろう。

上巻では中国内部で変革が起き、実際に隠れたクーデターが実行された。下巻ではCIAの思惑通りにことが進むのか。それとも、中国側がその仕掛けに気づき、反発するのか。現在の中国の問題を当時から先取りしているような作品だ。

下巻の流れが気になる作品だ。



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