ルパン三世 ナポレオンの辞書を奪え


 2022.5.9      湾岸戦争をモチーフにした皮肉に満ちた作品【ルパン三世 ナポレオンの辞書を奪え】

                     
ルパン三世 ナポレオンの辞書を奪え
評価:3

■ヒトコト感想
ルパンのTVスペシャルシリーズ。今回はルパンの祖父が残した財宝を探し出すヒントが書かれたナポレオンの辞書を追う物語だ。ルパンの財宝は2000億ドルあると言われ、各国が必死になり財宝を奪い取ろうとする。時代的には湾岸戦争の時代なのだろう。まさに石油利権を奪い合うように多国籍軍がルパンの財宝を国をあげて奪い取ろうとする。湾岸戦争を揶揄するような流れとなっている。日本には経費だけ出させ、多国籍軍としてルパンたちに迫る。

もはやなんでもありだろう。ルパンは多国籍軍に対して戦いを挑んでいるような形だ。オチとしては財宝と呼ばれていたのは、当時では新しい真空管のラジオだった。時代を感じさせる流れであることは間違いない。

■ストーリー
今回ルパン一味が狙うのは、ルパン帝国の財宝のありかが記されているというナポレオンの辞書。ルパンが計画を練っているちょうどそのころ、ニューヨークで開催されていたG7の席上で、世界的不況を立て直すにはルパン帝国の財宝が必要という意見が経済学者から出る。隠し場所を知っているのはルパン帝国の末裔(まつえい)、ルパン三世のみ。マドリードからパリまで辞書を追ってルパンが動き、ルパンを追って世界各国の諜報機関が動き出す。

■感想
ナポレオンの辞書を手に入れるためには、レースに出る必要がある。序盤ではルパン一味や峰不二子などがレースに参加しそれぞれの目的を果たそうとする。裏ではルパンの財宝を奪おうとCIAや各国の諜報部員たちが暗躍している。

銭形警部は実直にルパンを逮捕するために動いている。途中、CIAのスパイが入り込んだりもするのだが…。特徴的なのはルパンが乗る車だ。様々な機能が盛り込まれているのだが、強烈なのはルパンが囚われた状態でも、ルパンが口の中で何かモゴモゴするとそのまま車が動き出すのがすさまじい。

ルパンがナポレオンの辞書を手に入れ、財宝のありかが判明するのだが…。財宝はただの真空管ラジオだった。当時としては画期的な発明で、この発明の権利を手に入れることで巨万の富を築くことができるはずだったのだが…。

今となっては何の価値もない。皮肉なことに財宝の正体を知らない多国籍軍は、大群をルパン帝国に送り込んでくる。まさに、湾岸戦争のような状態となっている。ピンポイントでミサイルをルパンたちに撃ち込んでくるのだが、すべてを五右衛門が斬鉄剣でバラバラにしているのが良い。

各国が必死に軍隊を送り込んでも、そこには何の意味もない。湾岸戦争に対する皮肉が強烈に描かれている。結局は財宝も何もなく、不二子のたくらみも崩れ、そのまま終わってしまう。ルパンが相対する敵の存在が多国籍軍やCIAというちょっと異色な作品であることは間違いない。

銭形警部も、どちらかというとルパン側についている。自分が信じるままに行動せよというのは、それなりにインパクトのあるルパンの言葉かもしれない。

時代背景がよくわかる作品だ。



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