2023.1.4 紛争地域の何でも屋たち【ロープ 戦場の生命線】
ロープ 戦場の生命線 / べ二チオ・デル・トロ
評価:3
■ヒトコト感想
タイトルのロープは国際援助活動家たちが井戸に投げ込まれた死体を引き上げるのに使うロープを探すことにかかっている。国際援助活動家といっても、各方面が協力的であるわけではない。そのため、死体を引き上げるロープすら支給されないので、村で探し回るしかない。活動家たちは村人たちを支援するために活動する。国連軍や地元の軍隊などからつれない対応をされる。
紛争地域では当たり前に地面に地雷が埋まっており、活動家たちの支援活動を邪魔しようとする者たちがいる。なぜここまで協力がない状態で支援活動を続けるのか。紛争地帯での物語ではあるが、激しいドンパチがまったくない。いつ起こるかわからない雰囲気がありながら、平和的な物語となっている。
■ストーリー
ロープがあれば、この世界はもう少しハッピーになるのに。1995年、停戦直後のバルカン半島。ある村で井戸に死体が投げ込まれ生活用水が汚染されてしまう。それは水の密売ビジネスを企む犯罪組織の仕業だった。国籍も年齢もバラバラの5人で構成される国際援助活動家“国境なき水と衛生管理団"は、死体の引き上げを試みるが、運悪くロープが切れてしまう。
やむなく、武装集団が徘徊し、あちこちに地雷が埋まる危険地帯を、1本のロープを求めてさまようが、村の売店でも、国境警備の兵士にもことごとく断られ、なかなかロープを手に入れることができない。そんな中、一人の少年との出会いがきっかけで、衝撃の真実と向き合うことになる・・・。
■感想
紛争地域で国民のために活動する団体。村人が生活用水として使う井戸に死体が投げ込まれた。水の密売ビジネスを行う組織の犯行なのだが…。国際援助活動を行う者たちが主人公の本作。立場としては武装しているわけではないので、危険な地域であれば自分たちで危険を避けるしかない。
国連軍から守られるわけでもなく、地元の軍隊に守られるわけでもない。場合によってはしがらみから妨害される場合もある。法律的に地元に任せるべきだと、活動家たちの動きが妨げられる場合もある。
紛争地域の現実というか、アチコチに地雷が埋まっており、牛を散歩させるおばあちゃんにも危険が迫ったりもする。地元の子どもは両親と離れ離れに暮らしているのだが…。活動家たちはその子の家に入りボールをとってこようとするのだが…。
そこには子供の両親が首つり自殺していた。平和な日本では想像できない境遇だ。そして、活動家たちのモチベーションもまた複雑だ。国から検査官がやってきて自国に戻れと言われたりもするが、活動家たちは紛争地域が自分たちの家だという思いがある。
紛争地域のあちこちで武装した軍や兵士たちが登場してくる。ただ、実際に戦闘や激しい銃撃戦はない。が、それでも危険地帯としての緊迫感がある。井戸から死体を引き上げるために方々でロープを探し続ける。やっとみつけたロープを使い、死体を引き上げようとするのだが…。
その地域は地元の軍が管理することになり、海外の活動家は何もできなくなる。村人たちが求めることを無視した決断がされている。ラストでは、次の活動の場の連絡がくる。難民キャンプのトイレが溢れたということで修理に向かう。
紛争地域の何でも屋という感じなのだろう。
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