リリーのすべて


 2022.9.4     危険をともなう性転換手術【リリーのすべて】

                     
リリーのすべて [ エディ・レッドメイン ]
評価:3

■ヒトコト感想
実在の人物を描いた作品。風景画家のアイナーと肖像画家の妻ゲルダ。最初はちょっとしたお遊びのつもりでアイナーが女装をしその姿をゲルダが絵に書く。アイナーは女装が癖になり、そして自分の心が女性であることに気づく。時代的なものがあるのだろう。ゲルダは悩み医者に相談し、医者が異常としてアイナーを手術しようとするのが強烈だ。

男でありながら女性の心をもつことは何かしら体に異常がある。下半身への施術というのはどんなものかが非常に気になった。アイナーはリリーとなり、最終的には性転換手術をする。そして、困難な手術のため最後には死亡する。リリーとして人生をまっとうしようとしたアイナーの信念ど、戸惑いながら受け入れるしかないゲルダの困惑が印象的だ。

■ストーリー
夫が女性として生きたいと願った時、妻はすべてを受け入れた。風景画家のアイナー・ヴェイナーは肖像画家の妻ゲルダと結婚し、デンマークで充実の日々を送っていたが、ある日、妻に頼まれて女性モデルの代役をしたことを機に、自分の内側に潜む女性の存在に気づく。それがどういうことなのかもわからないまま、“リリー"という女性として過ごす時期が増え、心と身体が一致しない状態に苦悩するアイナー。一方のゲルダは夫の変化に戸惑いながらも、いつしか“リリー"こそアイナーの本質であると理解していく。

■感想
画家の夫婦であるアイナーとゲルダ。アイナーがお遊びで女装をしたことから、自分が女性であることに気づくアイナー。序盤で、女装したアイナーが男とキスをしている場面を目撃したゲルダの衝撃はすさまじいものがあるのだろう。

ゲルダとしてはアイナーが女と浮気をした方がまだマシという考え方なのだろう。アイナーが女性になりたがることを拒否し医者に通わせようとするゲルダ。時代的なものでLGBTなどの考え方は皆無なので、男だけど女になりたいというのは単純に異常ということで医者にかかる必要があったのだろう。

衝撃的なのは医者の診断により異常があるからと、なんらかの手術をアイナーがされる場面だ。強烈なインパクトがあるのは下半身を手術されてしまうくだりだ。いくらなんでもそんなことをして、と思うのは現代だからだろう。

完全に病気扱いされるアイナーの苦しさはすさまじいのだろう。そして、ゲルダは相談相手がいないので苦悩するのだが…。アイナーの親友に相談することになる。ここからは、ゲルダはアイナーがリリーになることに寛容になる。女の親友のような形になる。

ゲルダとリリーはまさに親友のような関係だ。ただ、ゲルダの心の中には普通の夫婦になれなかったことが悔やまれるのだろう。リリーの思いを尊重するため、リリーが性転換の手術をすることに同意する。当時は性転換手術は危険を伴うのだろう。

死の危険があると知りながらリリーが手術に踏み切ろうとするのは、それだけ今までの違和感や苦しさがあったからだろう。リリーやゲルダが実在した人物ということに驚いた。アイナーも生まれる時代が変われば苦労することはなかったのにと感じた。

LGBTの走りなのだろう。



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