レジェンド&バタフライ


 2023.8.7     濃姫にやりこめられる信長【レジェンド&バタフライ】


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評価:3.5

■ヒトコト感想
キムタク主演の映画として話題になった本作。織田信長が濃姫に翻弄され変わっていく物語だ。序盤は信長がダメ男で濃姫が気が強く濃姫にやり込められるパターがある。信長は強気にでるのだが、何かと濃姫に負けてしまう。濃姫の強気キャラは最後までつきすすんでいる。信長が史実の通りに勢力を広げていくのだが、そこでも様々な葛藤がある。

信長が魔王と呼ばれるまで残酷になったとしても濃姫は適格なアドバイスを送っている。信長の後には引けない感がすさまじい。本作だけ見ると、信長は天下を統一する器ではなかったということなのだろう。明智光秀に裏切られるまでの展開も新しくはあるが、なんとも情けない信長という感じだ。歴史の裏側を想像するのは面白い。

■ストーリー
政略結婚で結ばれた、恰好ばかりの織田信長と密かに信長暗殺を目論む・濃姫は、全く気が合わない水と油の関係。ある日濃姫の祖国で内乱が起こり父が命を落とす。自身の存在意義を失い自害しようとする彼女に、再び生きる意味と場所を与えたのは、他でもない信長だった。そんな信長もまた、大軍に攻められ窮地に立たされた時、濃姫にだけは弱音を吐く。

自暴自棄になる彼を濃姫は鼓舞し、二人は桶狭間の激戦を奇跡的に勝ち抜く。これをきっかけに芽生えた絆は更に強くなり、いつしか天下統一が二人の夢となる。しかし、戦に次ぐ戦のなかで、信長は非情な“魔王”へと変貌してゆく。本当の信長を知る濃姫は、引き止めようと心を砕くが、運命は容赦無く<本能寺>へと向かっていく。激動の30年を共に駆け抜けた二人が見ていた、“本当の夢”とは―。

■感想
序盤の信長はすべてにおいて濃姫にやり込められている。信長クラスになると奥さんは複数いるはずだ。その中で正室である濃姫が強烈な個性があるとしたら、信長は濃姫のアドバイスに従わざるお得ない。濃姫の強気な姿勢は強烈なインパクトがある。

信長と言い合いになった際には、いつかは自分の実父であるマムシが尾張を亡ぼすと言ったりもする。濃姫のエピソードで強烈なインパクトがあるのは、濃姫が妊娠したは良いが流産した際の流れだ。あの濃姫が悲しく寝込むパターンは想像外であった。

主役である信長の出世街道をひた走る部分も描かれているが、順風満帆ではなく苦しみに満ちた描かれ方をしている。今川義元に攻め込まれた際には、何も考えることができずふさぎ込んでいた。そこに濃姫の叱咤により動き出す。ここまでダメな信長像もめずらしい。

かと思うと、中盤以降では暴君ぶりを発揮している。天下を統一するため京都を目指す。そう決めた瞬間から信長は魔王となる。そんな魔王に心底ほれ込んでついてくるのは明智光秀という流れだ。

光秀のキャラは良い。魔王の信長が本願寺を滅ぼそうとした際には率先してその役目を引き受ける。男だけでなく女子供も皆殺しにしろと命令され、それを光秀は実行する。晩年の信長は魔王っぷりが薄れている。それを見抜かれないために光秀と策略を練るのだが…。

明智光秀が信長を裏切った理由が秀逸だ。信長に以前の魔王としての魅力が失せたため、自分が信長の代わりに魔王になるという思いの元に本能寺を目指す。史実に基づいているのだが、濃姫との結末はぼかされている。

新しい信長像だ。



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