2022.10.5 木で作ったカギで脱獄する【プリズン・エスケープ 脱出への10の鍵】
プリズン・エスケープ 脱出への10の鍵[ ダニエル・ラドクリフ ]
評価:3
■ヒトコト感想
実際に刑務所を脱獄した者の作品。南アフリカで人種差別政策に反対するためテロを起こしたディムたちが刑務所を脱獄する。白人でありながらアパルトヘイトに抵抗し投獄され、政権への反対を示すために脱獄しようとする。驚きなのは、木ですべての鍵を作ってしまう部分だ。刑務所内部でひっそりとカギを作り、扉で試しつつ、次々とカギを完成させていく。
合間では看守にカギの件がバレるかも、というヒリつくような展開がある。同じく政治犯として投獄されている者たちを脱獄に誘うのだが、仲間は3人だけ。ラストですべての準備が整い、脱獄する場面は強烈だ。いつ気づかれるか、脱獄後に無事逃げ切れるのか。ハラハラドキドキする展開があるのは間違いない。
■ストーリー
南アフリカ人のティムは、白人でありながら、ネルソン・マンデラ率いる反アパルトヘイト組織「アフリカ民族会議(ANC)」に加わり、秘密作戦を実行したために、同胞のスティーブン・リーと共にテロリストとして 1978年にプレトリア刑務所に投獄された。最高警備を誇るプレトリア刑務所に収監後、ティム、スティーブンらは、アパルトヘイト政権に対し抵抗の明確なメッセージを送るために脱走を決意する。
厳しい監視の目がある中、ティムらが脱出の手段として挑んだのは、無謀とも言える木鍵の制作だった。看守の腰から下げられた鍵束を目視で観察し、精細に作りあげた“木製"の鍵を駆使して、10の“鉄製"のドアを突破し、自由への道を切り開くー!
■感想
ティムが逮捕されるのは、ある意味既定路線なのかもしれない。アパルトヘイトに反対するため、周りに危害が加わらないテロを実行する。その後、投獄されるのだが、自分たちが脱獄することで政権への反対をアピールする手段として利用しようとする。
同じく投獄されている仲間の中には、あえてじっと投獄され続けることで反対を表明する、というやり方もある。白人専用の刑務所であるが、政治犯以外にも殺人犯もいる。それらとは壁を作りながら、脱獄するためにひたすら木でカギを作り続けるのは強烈だ。
木のカギをそう簡単に作ることができるのか。割と刑務所としての警備は緩い。囚人同士が隠れて密談する場があったり、木のカギを隠す場所があったり。現代の刑務所では不可能だろう。そのほか、ティムたちの脱獄に最初から反対していた勢力が、看守たちにチクらないか?とその部分が不安になった。
やはり方針の違いはあるにせよ、同じ問題意識をもった仲間という繋がりはあるのだろう。ティムたちが脱獄したあと、嫌な看守が慌てふためくさまを見て、笑う場面が印象的だ。
ラストの木のカギを使いながら次々と扉を開けるシーンは緊迫感にあふれている。看守がすぐ近くを通ったり、残った仲間たちが絶妙なサポートをしてくれたり。ラストの扉で、木のカギが合わず、扉が開かない。いまさら戻ることもできない。では、どうするのか?
ここでノミを使って強引に扉の鍵の部分を破壊するのがすさまじい。扉が開き、すぐ外は自由に人が歩いている道路だ。そこに出てもまだ安心はできない。いつ後ろから看守が追いかけてくるかも、という緊張感に満ちた表情が強烈だ。
最後まで逃げ切っているのがすばらしい。
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