2022.9.16 新聞編集者たちの決戦前夜【ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書】
ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書 [ メリル・ストリープ ]
評価:3.5
■ヒトコト感想
ワシントンポストのオーナーであるキャサリンが政府の機密文書を紙面に載せるか葛藤する物語だ。この手の新聞のスクープ合戦というのは興味深い。ベトナム戦争に対して政府がどのような思いでいたのかの内部文書が流出した。いち早くNYタイムズが一部をスクープするが、政府から訴えられてしまう。機密情報を載せるのか載せないのか。それぞれが自分の利害関係を考え主張する。
キャサリンの決断にすべてがかかっている。記者たちの機密情報を手に入れるための動きがすばらしい。そして、情報の出どころがNYタイムズと同じだった場合、政府に訴えられ逮捕される危険性すらある。常に人はリスクを負ったうえで勝負にでる。結局はキャサリンは勝負に勝ったということなのだろう。ひりつく展開だ。
■ストーリー
なぜ、アメリカ政府は、30年もの間、それをひた隠しにしなければならなかったのか―─。 1971年、泥沼化するベトナム戦争。国防総省はベトナム戦争を調査・分析した文書、通称「ペンタゴン・ペーパーズ」を作成していたが、ある日、その文書が流出し、ニューヨーク・タイムズが内容の一部をスクープした。ライバル紙に先を越されたワシントン・ポストのトップでアメリカ主要新聞社史上初の女性発行人キャサリン・グラハム(メリル・ストリープ)と編集主幹ベン・ブラッドリー(トム・ハンクス)は、残りの文書を入手し、全貌を公表しようと奔走する。
政府を敵に回してまで、本当に記事にするのか…報道の自由、信念を懸けた“決断”の時は近づいていた。
■感想
父親が死に、夫が死んだことでワシントンポストのオーナーとなってしまったキャサリン。編集主幹のベンにいいように言いくるめられているようにも見える。周りの取締役たちもキャサリンを尊重しているようで、女だからという思いで見ている。
NYタイムズのスクープに驚き、そして政府から訴えられたことに戦々恐々とする。ただ、ベンは負けたままではいられないと追っかけ取材をするように記者たちへ通知するのだが…。あきらかにベンとキャサリンは見ている方向が違うように思えた。
記者たちが独自の動きで政府の機密情報を入手しようとする動きがすばらしい。違法な行為もおかまいなし。そして、ついに政府の機密文書のすべてを手に入れる。そこから記事を書き上げるまでは、ベンの家で合宿のような感じで記者たちで記事を書き続ける。
この熱量がすばらしい。政府がベトナム戦争に対して嘘の報道をし続けていたことに対する怒りなのか、それとも自分の功名心なのか。ベンは明らかに自分の名をあげることだけを考えている。政府から訴えられたとしても、権力におもねらないジャーナリストとして評判になることを狙っている。
皆がすべての責任をキャサリンへかぶせようとしている。そして決断はキャサリンにさせるのだが、自分の思うように決断させようとする。取締役たちは保身だけを考え記事を却下しようとする。記者やベンは強硬しようとする。最終的にはキャサリンはある決断をし、その後の結果がある。
当時としては政府から訴えられる危険性があれば、手を引くのが常套手段なのだろう。ベンとキャサリンが法廷で自分たちの真実を告げる。NYタイムズとワシントンポストが手を取り合って政府と戦うという図式になっている。
記者たちの決戦前夜のような熱さがすさまじい。
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