Pearl パール [ タイ・ウェスト ]
評価:3
■ヒトコト感想
農家の娘として生まれたパール。どこかエキセントリックで何をしだすかわからない危うさがある。農場から出て華やかなスターになることを夢見る少女パール。病気で車いす生活の父親と、厳しい母親。夫は戦争に行っており、パールは一人で疎外感を感じている。冒頭からパールの異常さが表現されている。家の家畜を近くの沼に住むワニに食べさせたりもする。
自分がスターになるために病気の父親が邪魔だと判断すると、父親の車いすを沼に落としてワニに食べさせようとしたりもする。パールが突然切れるというのが恐ろしい。まさにサイコパスの典型という感じだ。映画技師の男に対しては、愛しているからこその激しい怒りというのを感じずにはいられない。
■ストーリー
1918年、テキサス。スクリーンの中で踊る華やかなスターに憧れるパールは、敬虔で厳しい母親と病気の父親と人里離れた農場に暮らす。若くして結婚した夫は戦争へ出征中、父親の世話と家畜たちの餌やりという繰り返しの日々に鬱屈としながら、農場の家畜たちを相手にミュージカルショーの真似事を行うのが、パールの束の間の幸せだった。
ある日、父親の薬を買いに町へ出かけ、母に内緒で映画を見たパールは、そこで映写技師に出会ったことから、いっそう外の世界への憧れが募っていく。そんな中、町で、地方を巡回するショーのオーディションがあることを聞きつけたパールは、オーディションへの参加を強く望むが、母親に「お前は一生農場から出られない」といさめられる。生まれてからずっと“籠の中”で育てられ、抑圧されてきたパールの狂気は暴発し、体を動かせない病気の父が見る前で、母親に火をつけるのだが……。
■感想
テキサスの田舎町の農場で暮らすパール。家では病気で車いす生活となる父親の面倒を見ながら、厳しい母親の元で窮屈な生活をしている。パールはぱっと見はかわいらしい少女ではあるが、実は結婚しており夫は戦地にいる。
夫に捨てられたと思い込んでおり被害妄想が強い。スターへのあこがれが強く、映画館で映画を見て感銘を受ける。この時点ではどのような物語となるかはわからない。映画技師に恋をし、ダンサーとしてデビューするために必死となる。健気な少女が大きく羽ばたいていく物語と勘違いしていた。
パールは実はサイコパスだった。気に入らないことがあると癇癪を起し自分でも制御できない行動をとってしまう。衝撃的なのは、映画技師が遠くに行くと告白された際に、そこからパールが置いていかれたという気持ちになり、突然技師を殺害してしまう。
この突発的な行動は映画技師からすると驚きでしかない。ついさっきまで仲良く話をしていたが、次の瞬間には刺し殺されている。映画技師の死体をワニに食わせて証拠を隠滅している。そんな感じで病気の父親と厳しい母親を始末してしまう。
ダンスのオーディションに参加するパール。家には父親と母親の死体がある。こんな状態でもパールはオーディションに合格して、そこからスターとなり今の生活から抜け出そうとしている。。ここでオーディションにパールは落選してしまう。
パールは冷静ではいるが、内心の絶望感はすさまじいのだろう。パールはその後、オーディションに合格した幼馴染をあっさりと殺害してしまう。定番として死体を切断してそのままワニに食べさせてしまう。
パールのサイコパス具合がすさまじい。