2023.5.31 どんな臭いも言語化する香りのプロ【パリの調香師 しあわせの香りを探して】
パリの調香師 しあわせの香りを探して [ エマニュエル・ドゥヴォス ]
評価:2.5
■ヒトコト感想
香りに関しては天才的な才能があるアンヌ。過去にはディオールの香水の開発にも携わったりもした。そんなアンヌと偶然アンヌの運転手となったギョーム。子供の親権を得るために仕事が必要なギョーム。気難しいアンヌに困惑しながらもアンヌの召使いのような役割を行うギョーム。アンヌの天才的な嗅覚の才能が序盤に語られている。
どんなものでも臭いを分析してしまう。どんなものにも臭いがある。その臭いを詳細に言語化するのは難しいが、アンヌはいともたやすく行ってしまう。過去に精神的な疲労と仕事のプレッシャーがら嗅覚が麻痺する現象が起きた。アンヌはそのことを気にしており、ギョームのなんでも話をするタイプがアンヌの助けとなっている。
■ストーリー
アンヌは、かつてディオールの香水“ジャドール"をはじめ数々の名作を作った天才調香師。しかし4年前、仕事のプレッシャーと忙しさで、突如、嗅覚障害になり地位も名声も失ってしまった。嗅覚が戻った現在はエージェントから紹介される企業や役所の地味な仕事だけを受け、他人と関りを持たず、パリの高級アパルトマンでひっそりと暮らしていた。そんな彼女に運転手として雇われたギヨーム。
不器用だが人の良いギヨームは娘の共同親権を得るため、新しい住まいや仕事が欲しい。気難しいアンヌに戸惑いながらも、唯一率直にものを言うギヨームは気に入られ、少しずつアンヌの閉じていた心も開かれていく。ギヨームにも匂いを嗅ぎ分ける才能があることに気付き、ふたりは衝突しながらも協力して仕事をこなしていくように。やがてアンヌは再び香水を作りたいという思いを強くするが、突然また嗅覚を失ってしまう・・・
■感想
どんな臭いでもかぎ分けることができる、天才的な嗅覚をもつアンヌ。過去にはディオールの香水を開発した経験のあるアンヌ。仕事のプレッシャーと精神的な負荷から嗅覚が麻痺したことがあり、そのことが香水業界に知れ渡っており、アンヌは香水を開発する仕事から離れていた。
アンヌの仕事はすさまじい。洞窟でどんな臭いがしているかを適切に言語化する。新商品のバッグの臭いが気になる場合は、その臭いをどのようにして気にならないようにするかの仕事をしたりもする。
アンヌの運転手をやることになったギョーム。子供の親権を手に入れるため、本来の運転手の仕事以外の仕事もしぶしぶ行うギョーム。なぜか物事をはっきり言うギョームのことを気に入ったアンヌ。アンヌが人とのかかわりを避けながら仕事をしていることに気づくギョーム。
また、臭いについてもかなり神経質だということがわかる。運転していると隣に嗅覚が強烈に発達したアンヌが座っていると、自分の臭いをどのように感じられるかという戸惑いが湧いてくる。
アンヌはなんでも臭いを言語化できる。草刈りをした時の臭いが、実は草が自分の身を守るために自分の害になる虫を殺す者たちを引き寄せる臭いだと言う。それ以外にも洞窟の中でどのような臭いがしているのかを言葉で説明している。
普段何気なく嗅いでいる臭いが実はこんな臭いだと説明されるのは強烈だ。アンヌとギョームは良いコンビかもしれない。不安定な嗅覚のままであればアンヌは仕事がなくなってしまう。それをフォローする体制がギョームにできているのが良い。
全ての臭いを言語化できるのはすさまじい能力だ。
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