2023.1.29 アフガニスタンで孤立した前線基地【アウトポスト】
アウトポスト [ スコット・イーストウッド ]
評価:3
■ヒトコト感想
実話を元にした作品。アフガニスタンで谷底に位置する前線基地。敵に包囲されればひとたまりもない場所での任務。次々と司令官が殺され交代しているのがすさまじい。タリバンからの攻撃や地元民からの攻撃もある。指揮官はあくまでも地元民との友好関係を築くことで、攻撃を抑えようとしている。危険な地帯というのを認識していながら、そこで任務にあたるしかない兵士たち。
死と隣り合わせの世界はすさまじい。アメリカ軍となると、圧倒的な物量で安全な場所で戦うというイメージがあるのだが、これほど危険な地帯で助けもなく戦う場面があったことに驚きだ。敵に攻められた際に、空爆の支援を依頼するが、2時間かかるというのは絶望的だ。
■ストーリー
アフガニスタン北東部に位置するキーティング前哨基地。米軍の補給経路を維持するための重要拠点とされていたが、派遣されてきたロメシャ2等軍曹ら兵士たちは、その地をひと目見て驚愕する。そこには基地として致命的な欠陥が存在していたのだ。四方を険しい山に囲まれた谷底に位置しており、敵に包囲されれば格好の的となる。つまり、防御面からすると圧倒的に脆弱なのだ。いつタリバン兵の銃弾が撃ち込まれてもおかしくはない。
案の定、日々襲いくる攻撃の中、誰かが命を落としてゆく。「もし圧倒的多数の敵に囲まれたら…」彼らの日常は文字通り死と隣り合わせだった。そしてその日、ついに恐れていたタリバン兵の総攻撃が開始された。それは後に「カムデシュの戦い」と呼ばれる、アフガニスタン紛争で最も過酷な激戦の幕開けだった。
■感想
アフガニスタンの前線基地。周りを崖に囲まれ、脱出できない谷底の基地。敵から攻撃を受けた際に、航空支援を受けようにも2時間かかる距離にしかない。まさに孤立しているような環境ではあるが、そこで米軍の兵士たちはとどまっている。
作中では地元のアフガニスタン民たちとの関係を築くことが重要と描かれている。学校を作ったり資金を提供したり。ただ、なかなか米軍の思うような反応を示さず金だけをかすめ取ろうとする村人たち。かなり困難な任務であることは間違いない。
数十人が任務を遂行する基地ではあるが、散発的に敵から攻撃を受けている。相手が少人数なのであっさりと追い返すことは可能だが…。攻撃により死者がでたりするのは日常だ。さらに衝撃的なのは、指揮官が次々と代わっているということだ。
ある指揮官は移動中に崖から車が落下し事故死する。次の指揮官は橋を渡っている時に爆破されてしまう。その次の指揮官は極度に憶病で逃げ出してしまう。ここまで危険な土地で任務を遂行することは困難で、いつ基地を閉鎖するのかだけが兵士たちの希望となっている。
タリバンからの総攻撃がある。激しい攻撃により兵士たちは分断されてしまう。銃弾が飛び交う中で、必死に逃げながら反撃する。中には装甲車の中に取り残され、ひたすら助けがくるのを待つしかない状態となった兵士もいる。圧倒的にタリバン兵の方が人数が多いため、米軍はじりじりと追い詰められていく。
最終的には空爆によりタリバン兵たちを一網打尽にするのだが、それまでには多大な犠牲がでている。なぜこんな危険な場所に基地を作ったのかの説明はない。
アフガニスタン紛争で最も過酷な激戦だけあってすさまじい迫力がある。
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