オールド


 2022.11.16     6歳の少年があっという間に11歳に【オールド】

                     
オールド [ ガエル・ガルシア・ベルナル ]
評価:3

■ヒトコト感想
人がほとんど立ち寄らないプライベートビーチで休暇を楽しむ複数の人々。突然6歳の息子が11歳に短時間で成長してしまう。まずこのインパクトがすさまじい。そのビーチにいると遺伝子の成長が早まるらしい。細かな突っ込みはあるにせよ、全体としては面白い仕掛けだ。大人は成長しないので変化があまり分からないが、子供は一目でその成長がわかる。

6歳があっという間に20代となる。大人もだんだんと年をとっていき、体のあちこちに不調が出始める。このビーチの仕組みと逃げ出せないようにされた状況。さらには、ビーチに呼ばれた目的など最後までしっかりと語られている。短時間で成長する仕組みを有効活用する流れは確かに納得できる。最後まで目が離せない作品だ。

■ストーリー
休暇で人里離れた美しいビーチを訪れた複数の家族。楽しいひと時を過ごしていた矢先、ひとりの母親が突然姿を消した息子を探している――母親が息子の姿に気付かないのも無理はなかった。なんと6歳だった息子は、少し目を離した隙に少年から青年へと急成長を遂げていたのだ。一体このビーチで何が起こっているのか?

■感想
人の細胞の成長が加速されるビーチ。ただプライベートビーチにやってきたはずが、子供がいつの間にか成長していた。この序盤の展開は秀逸だ。6歳の男の子が11歳に、11歳の女の子が16歳に。いきなり変化しているので親たちは驚くしかない。

そればかりかどんどん子供たちは成長していき、いつの間にかSEXまでしてしまう。強烈なのは、女の子が妊娠した際に、それすらも圧倒的なスピードで出産にまで至ってしまう。そこから出産した子供はすぐに死んでしまう。成長スピードに耐え切れないのだろう。

もともと老人だった女は早々と死んでしまう。中年の者たちは老けていくのだが、子供たちほど明確な変化はない。ただ、腫瘍をおなかに抱えていた女は、腫瘍がいつの間にか大きくなりメロンほどの大きさになる。良い面として腫瘍を取り出すために腹をメスで切ったとしても、傷口は自然に治ってしまう。

細胞の成長が早いということで、体はどんどんと老けていく。痴ほう症が加速しボケ始めナイフを持って暴れまわる者もいる。目がかすみ始め最後には死んでしまう者たち。

ラストでは子供が50歳にまで成長するのだが、それでもビーチからの脱出をあきらめない。なんとかうまく生き延びるのだが…。このビーチを何に利用していたのかのオチがすばらしい。短時間で人間の成長が観察できるので、薬の治験にはもってこいなのだろう。

それらの目的のために用意された組織。生き残った者たちは…。よく考えると小学生がいきなり50歳になるのは不幸でしかない。それまでの人生経験は小学生程度しかない。これから先の人生は辛いだけのような気がしてならない。

特殊な仕組みだが面白い作品だ。



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