涙するまで、生きる


 2023.2.19     元フランス軍人とアルジェリア人の旅【涙するまで、生きる】

                     
涙するまで、生きる
評価:3

■ヒトコト感想
フランスがアルジェリアを植民地としていた時代の物語。元軍人で教師のダリュと殺人の容疑をかけられたモハメドのロードムービー的な物語だ。村の風習で、いとこを殺害したモハメド。それは復讐の連鎖でしかない。ダリュがモハメドを移送中に村の復讐者がモハメドを狙いにくる。さらには、フランス軍とアルジェリア軍の戦いに巻き込まれたりもする。

フランス人とアルジェリア人。アルジェリア軍からはふたりは捕虜としてとらえられ、フランス軍からは微妙な扱いを受ける。ダリュがモハメドのことを考え、村の風習にとらわれることなく逃げろと言う。モハメドが逃げるとダリュが罰せられるのだが…。ふたりに友情のようなものが芽生えているのが良い。

■ストーリー
1954年フランスからの独立運動が高まるアルジェリア。元軍人の教師・ダリュのもとに、殺人の容疑をかけられたアラブ人のモハメドが連行されてくる。裁判にかけるため、山を越えた町にモハメドを送り届けるよう憲兵に命じられ、ダリュはやむを得ずモハメドを連れて町へ向かう。復讐のためモハメドの命を狙う者たちの襲撃、反乱軍の争いに巻き込まれ、共に危険を乗り越える内に、二人の間には友情が芽生え始めるが……。

■感想
国同士の戦争、村の風習、フランス人とアルジェリア人。様々な要素が含まれた作品。フランスがアルジェリアを植民地としていた時代。アルジェリアが独立するために戦争を起こす。となると、それまで仲間だった者たちが途端に敵となる。

ダリュは元軍人としてモハメドの移送を命じられるのだが…。ダリュは教師であり、アルジェリア人に対しても理解ある人物なので、モハメドの扱いは丁寧だ。モハメドはダリュからそんな扱いを受けたことに驚いている。

モハメドは村の風習でいとこを殺害する。復讐の連鎖でモハメドは村の者から狙われることになる。ダリュがモハメドの行動を理解できないまでも、悪い印象はない。モハメドとダリュの移送の旅の中で、村の追っ手やアルジェリア軍に出会ったりもする。

ダリュがいたことでアルジェリア軍に捕虜とされるのだが、軍の指揮官は昔一緒に戦った仲間だった。このあたり、フランスの植民地であったアルジェリアなので、フランス人の知り合いが多いのは当然なのだろう。仲間だった者たちとの戦う辛さも描かれている。

ダリュはモハメドを引き渡すことなく逃がそうとする。モハメドは村の風習から逃れ、自由になれるのだが…。ダリュに罰が下ることを恐れ、モハメドは決断できない。それまで死地を一緒にさまよったふたりなので、友情のようなものが芽生えたのだろう。

ダリュがモハメドのために娼婦をあてがったり、ダリュの心の優しさが印象的だ。フランス軍に対しても、アルジェリア軍が降伏しても兵士を殺害したことを面と向かて非難している。軍人を辞め教師をしている理由のようなものが垣間見えた。

フランスとアルジェリアの時代を感じさせる物語だ。



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