2023.7.4 強烈にもの悲しいラストだ【名も無き世界のエンドロール】
名も無き世界のエンドロール コンプリート版 [ 岩田剛典 ]
評価:3
■ヒトコト感想
幼馴染のキダ、マコト、ヨッチの3人。男2人に女1人の状態だ。それぞれが複雑な家庭環境で育ち、お互い支え合いながら育っていくのだが…。時系列が変化していき、小学生時代と青年時代、そして現代へと変化していく。青年時代ではヨッチはいない。キダとマコトだけが車の整備場で働いている。そこに登場する令嬢のリサ。車の修理を依頼したのだが…。
ここから物語が変化していく。マコトが成り上がりリサを手に入れることを目指す。ただの若者の成り上がり物語かと思いきや…。マコトがリサに近づきたいのには理由があった。キダとマコトの性格が正反対なのが強烈だ。マコトは若き青年実業家。キダは裏稼業の交渉屋。ラストの展開はあまりに悲しすぎる。
■ストーリー
複雑な家庭環境で育ち、さみしさを抱えて生きてきたキダとマコトは幼馴染み。そこに同じ境遇の転校生ヨッチも加わり、3人は支え合いながら家族よりも大切な仲間となった。しかし20歳の時、訳あってヨッチは2人のもとから突然いなくなってしまう。そんな彼らのもとに、政治家令嬢で芸能界で活躍するトップモデルのリサが現れる。リサに異常な興味を持ったマコトにキダは忠告するが、マコトは忽然と姿を消してしまう。2年後…。
■感想
キダとマコトとヨッチの青春物語風な印象がある。キダとマコトはヨッチのことが好きなのだろう。この3人の関係が心地良いので関係を崩したくないからと告白しない。そんな状態で、青年期になるとヨッチの姿はそこにはなく、キダとマコトの二人は車の整備場で働いている。
そこに事故車を持ち込んだ高飛車なリサ。リサに相手にされず悔しがるマコト。このことをきっかけにマコトはリサを手に入れるために成り上がりを決意する。残されたキダは裏稼業へと転身するのだが…。
マコトは表舞台に躍り出る。それを助けるような形でキダが裏で仕事をする。マコトの目的が単純にリサに近づくためだけではないのは想像できた。キダがなぜ汚れ仕事をするのかも不明だが、マコトのためならという思いが強いのだろう。
マコトの出世具合がすさまじい。どのようにしてマコトが社長にまで成り上がったのかは描かれていないので、このあたりは軽さがある。キダも都合がよすぎるような気がしたのだが…。リサと付き合うことになったマコトが何か仕掛けを考えているのは明らかだ。
なぜマコトがリサにこだわるかは、終盤で明らかとなる。ヨッチが消えた理由。そして、マコトがリサにこだわるようになったタイミング。キダがそのことを知らずにマコトに協力してきたのは違和感しかない。いくらなんでもキダは鈍感すぎる。
ラストのもの悲しさはすさまじい。マコトの目的は結局なんだったのか。ヨッチが昔からしきりに自分の名前を忘れられるのが我慢できない、と言っていたことが伏線となっているのだが…。いくらなんでもそれはないだろう。
キダの鈍感さばかりが印象に残っている。
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