マイ・ブロークン・マリコ


 2023.5.15    メンヘラなマリコとぶっ壊れたシイノ【マイ・ブロークン・マリコ】

                     
『マイ・ブロークン・マリコ』
評価:3

■ヒトコト感想
マンガ原作らしい。マンガは未読。シイノは親友のマリコが自殺したと知りショックを受ける。強烈なのは、マリコが幼少期より父親から虐待を受けており、成人してからは恋人から虐待を受けるなど体質的に男に依存するようなタイプだということだ。マリコの弔いということで、マリコが行きたがっていた場所へ、マリコの遺骨をもって旅をするシイノ。

ブラック企業の強烈なインパクトと、それにも負けないシイノの気の強さがポイントかもしれない。道中でバックをひったくられ無一文になるが、マキオに助けられる。人生を奪われた親友のために何ができるのか。マリコは付き合うには相当やっかいな人物であることは間違いない。それだけにシイノの心残りは大きいのだろう。

■ストーリー
ある日、ブラック企業勤めのシイノトモヨ(永野芽郁)を襲った衝撃的な事件。それは、親友のイカガワマリコ(奈緒)がマンションから転落死したという報せだった――。彼女の死を受け入れられないまま茫然自失するシイノだったが、大切なダチの遺骨が毒親の手に渡ったと知り、居ても立っても居られず行動を開始。包丁を片手に単身“敵地”へと乗り込み、マリコの遺骨を奪取する。

幼い頃から父親や恋人に暴力を振るわれ、人生を奪われ続けた親友に自分ができることはないのか…。シイノがたどり着いた答えは、学生時代にマリコが行きたがっていた海へと彼女の遺骨を連れていくことだった。道中で出会った男・マキオ(窪田正孝)も巻き込み、最初で最後の“二人旅”がいま、始まる。

■感想
シイノが勤務する企業のブラックさが面白い。昔ながらの上司が部下を怒鳴る社風。シイノはそんな上司に対して負けずに反抗する。序盤でシイノが只者ではないというのがわかる。親友であるマリコがマンションから飛び降りて自殺した。

マリコの実家に乗り込み実の父親に対して罵詈雑言を浴びせるシイノ。マリコが幼少期から虐待を受け、さらには父親に処女を奪われていたというのは衝撃的だ。学生時代ではマリコは悪い男につかまり、日々虐待を受けたりもしていた。それらからシイノが助け出していたのだが…。

生前、マリコが希望していた場所へ旅をしようと考えるシイノ。マリコの遺骨を抱えたまま夜行バスに乗り旅をする。旅先でバッグをひったくられ無一文になるシイノ。それを助けたのは釣り人のマキオだ。シイノの激しさから比べるとマキオの落ち着いた雰囲気が対照的で良い。

後先考えず突っ走るシイノの行動力はすごい。旅先で事あるごとにマリコとの思い出を回想するシイノ。客観的に見るとマリコの他者への依存度はすさまじい。今風に言うとマリコはメンヘラなのは間違いない。

シイノに巻き込まれるマキオ。シイノの自己満足のための旅に思えてくる。マリコの亡霊に悩まされるシイノ。マリコがシイノの目の前で、自分を捨てたら自殺すると手首にカッターを突きつけるあたり、まさに他者に依存しすぎているメンヘラだ。

マリコの出来事を吹っ切ったあとに、シイノの新たな人生がスタートするのだろう。マリコは無断欠勤した後、上司に退職届けを出すのだが、上司はそれを受け取らない。大っぴらに、うちはブラック企業で人手不足だから辞めさせない!と言い切るのがすごい。

とんでもないストーリーだが、強烈なインパクトのある登場人物たちだ。



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