ムルゲ 王朝の怪物


 2022.7.6      作られた怪物【ムルゲ 王朝の怪物】

                     
ムルゲ 王朝の怪物 [ キム・ミョンミン ]
評価:3

■ヒトコト感想
謎の怪物が現れた。姿を見せず人々の死体のみが存在する。冒頭から、怪物の恐怖がこれでもかと煽られている。ただ、実体としては国王の権力を奪うため、頼りない国王とレッテルをはるため、怪物騒ぎはでっち上げられていたのだが…。本当に怪物は存在した。

結局、この怪物の正体は様々な動物を掛け合わせて作り出された生物という流れだ。どこかデカくて動きの素早いクマのような風貌をしている怪物。民衆を不安にするために作り上げた怪物が実在した。物語のピークは、いないと思われた怪物が存在した場面だろう。それまで兵士たちが怪物の仕業として人を殺していたのだが…。本物の怪物は圧倒的な凶暴さで兵士たちに襲いかかる。怪物との闘いは定番的だ。

■ストーリー
国を救うのは、王か、武人か…それとも陰謀か?!朝鮮・中宗22年(1527年)―国に疫病が蔓延する中、宮廷の背後にそびえる仁王山(イナンサン)に“物怪"(ムルゲ)が現れるという噂が流れる。ムルゲと遭遇した人間は逃げおおせても疫病にかかり悲惨な死を迎えるという。民衆が恐怖と混乱に陥る中、それに乗じて11代中宗王の失権を目論む陰謀が密かに計画される。陰謀の匂いを感じた王は、民衆の不安と朝廷の危機を一

掃するため、かつて政争により朝廷から追放された朝鮮国最強の武人・ユン・ギョム(キム・ミョンミン)を呼び戻す。ユン・ギョムは、長年の同僚であったソン・ハンとずば抜けた弓矢の腕前と医術の知識を持つ愛娘ミョン(イ・ヘリ)、そしてミョンに恋心を抱く優秀なホ宣伝官(チェ・ウシク)、彼らと共に力を失いつつある王と疫病に苦しむ民衆を救うため、物怪(ムルゲ)の棲む仁王山へと向かうのだが…。

■感想
国の中で権力闘争がある。今の国王を追い落とそうとする勢力があり、国王の力を弱めるため、怪物の存在をでっち上げ、民衆の不安をあおる。すでに引退した伝説の武人ユンが本作の主人公なのだが…。怪物が本当に存在するのか?というミステリアスな展開が序盤にはある。

ユンたちが怪物に殺された人間の傷口を見て判断する。実は、本当に怪物に遭遇した者もいる中で、兵士に殺された者についてはユンがあっさりと正体を見破っている。すべては権力闘争のはてに偽物の怪物が作り上げられていたはずだが…。

怪物が実在しているとわかってからは、激しい混乱となる。すべてを仕組んでいた男は、まさか自分がでっち上げた怪物が目の前に登場するとは、という思いなのだろう。怪物に対して兵士たちは物量で対抗するのだが、この怪物がやっかいだ。

怪物の血を浴びると疫病に感染してしまう。一瞬、怪物を多数の縄で捕獲するのに成功するのだが…。それも一瞬、瞬く間に兵士たちはやられていく。もはや人間では太刀打ちできない存在ではあるのだが…。

ラストの結末はやけにあっさりとしている。怪物をどのように倒すかはあまり重要ではないのだろう。すべてを仕組んでいた男は怪物に殺され、ユンが自己犠牲の精神で怪物と心中しようとする。実は怪物自身も悲しい立場なのだろう。

作り上げられた怪物。知能のないフランケンシュタインのような存在なのだろう。遺伝子操作まではいかないが、様々な動物をかけあわせて作られ、体の内部に疫病の元をもつ恐ろしい存在であることは間違いない。

怪物にやられた人々の死体はグロテスクすぎる。



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