水の巡礼 


 2024.10.31      水に関する聖地巡礼 【水の巡礼】


                     
水の巡礼 角川文庫/田口ランディ
評価:2.5
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■ヒトコト感想
田口ランディが水に関する聖地巡礼を行いエッセイを書く。普段は水に対してまったく意識していないが、いつものように多少スピリチュアルな内容となっている。渋谷の地下の川への取材。そこから川の源流をたどっていくと、結局多摩川につながり、多摩川の源流を訪ねることになる。驚きなのは、多摩川の源流へ向かうために雪山を1時間も登り続け2000メートルもの高度まで登らなければならないという部分だ。

作者のお気軽な感じが存分にでている。二日酔いの状態で雪山登山を行う。別のエッセイでは自分のOSをアップロードするだとか、スピリチュアル関係が強く描かれている。作者の父親との関係については、相変わらずの特殊さで描かれている。

■ストーリー
このさい私は『聖地開発事業団』を結成することにした水を追い、水に導かれて、その土地の人に会い、見えないものを探す旅。渋谷地下の川とその源流、屋久島の岩、占星術師と神社に行き、超能力でピザ屋を見つける。さあ自分自身の聖地を見つける旅へ。

■感想
水に導かれて様々な土地へと向かう。そもそも水に興味をもつのは普通はあまりない。作者のように作品の舞台となるからと渋谷の地下の川に訪れるというくらいだろう。水が魂だとか、占星術師と神社に行くだとか、相変わらずスピリチュアルな内容があちこちにある。

作者の周りには特にそのあたりの人達が集まるのだろう。一緒に現地へ訪れるパートナーとして超能力者が一緒にいたりもする。それもスプーンを曲げる超能力者だ。時代も関係するのかもしれないが、超能力者でもスプーン曲げというのは微妙だ。

スピリチュアルな場所やパワースポットに行くと、作者は極度に眠くなるらしい。パワーを受けきれずに体が悲鳴を上げるのだろうか。なので、パワースポットに観光に行ってもホテルで眠ってばかりいるので同行者からすると、ぐうたらな人間と思われてしまうのかもしれない。

作者が神聖な雰囲気やスピリチュアルに興味があるので、そのあたりを強く影響をうけているのだろう。作者は兄や母親との関係が微妙なまま死に別れている。そのことも大きく影響があるのだろう。

父親との関係については作者の作品を読んでいる人は良くわかっているのだろう。父親の無茶苦茶さをさんざん文章に描いている。確かにそれを父親が読む時、どのように感じるのか。娘にこんな思いをさせていたのか、という後悔の気持ちがあるのかもしれない。

水からスピリチュアルにつながるというのは意外なパターンだ。もっと単純に水にまつわるエピソードなどが描かれるのかと思った。屋久島は作者のホームなのだろう。本作を読むと屋久島に行ってみたくなる。

いつものスピリチュアル要素がある。



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