身代わり忠臣蔵
評価:3
■ヒトコト感想
忠臣蔵を奇想天外なIFで描いている。吉良上野介が浅野内匠頭に襲撃された際に、その傷が元で死んでしまった。代わりに吉良家を守るために次男が吉良上野介のふりをして吉良家の当主となる。次男が昔家を追い出され金にだらしない生臭坊主になっているのが秀逸だ。やりたくもない身代わりを金のためにしぶしぶ引き受ける次男。
吉良上野介と浅野内匠頭の間に何があったのかを知ると、次男はおとりつぶしとなった浅野家に同情してしまうのだが…。どちらも家を守るためと、家臣のことを考えて行動している。生臭坊主である次男が、実はひそかに大石内蔵助と知り合いだったことが、その後の展開に大きく影響してくる。ラストのアクロバティックな展開は強烈だ。
■ストーリー
江戸城内で事件発生!嫌われ者の旗本、吉良上野介(ムロツヨシ)があろうことか城内で斬りつけられた。理由は、ずっと陰湿ないじめを受けていた赤穂藩藩主がついにブチ切れたため。斬った赤穂藩主は当然切腹。だが、実は切られた側も逃げた傷で瀕死の状態だった!?逃げて死んだとなれば武士の恥、お家取り潰しの危機となり、両家とも大ピンチ!ここで吉良家家臣から出てきたのは、まさかの奇想天外な打開策!?
殿にそっくりな弟・孝証(ムロツヨシ)を身代わりにして、幕府を騙しちゃえ!一方赤穂藩家老・大石内蔵助(永山瑛太)は、仇討の機会をうかがっているような、いないような・・・?両家のキーマン二人が手を組んだ、この世紀の大芝居<身代わりミッション>をコンプリートできるのか!?
■感想
吉良家の次男ではあるが、家を追い出され生臭坊主として施しを受けながら生活していた男。突如として吉良家の当主にさせられてしまう。兄弟であり顔が瓜二つなので、襲撃を受けて傷を負い、その傷が元で長男が死んでしまう。
襲撃されて死んだとなれば喧嘩両成敗ということで吉良家もおとりつぶしとなるのだが…。次男は大金に目がくらんで身代わりを引き受けることになる。見た目は似ているが性格は真反対な次男が当主となったので、吉良家は明るく楽しい一家となっている。
ムロツヨシがひとり二役をしているコメディタッチの物語だ。中盤までは次男がどのようにして金を手に入れ、酒と女に溺れるかが描かれていたのだが、中盤以降ではおとりつぶしの話や、浅野家のことを気の毒に思うなど、人情味あふれる部分が描かれている。
特に浅野家の家老である大石内蔵助と坊主時代に知り合いとなり、そのまま正体を隠して酒を飲むなどしているのがよい。浅野家の復興が無理だとしても仇討のために行動を起こそうとする大石内蔵助。実はターゲットは目の前の坊主なのだが…。
幕府の思惑は、大石内蔵助に吉良上野介を襲撃させ、その場で一網打尽にしようとしていた。そのたくらみを知った次男は、大石に襲撃をやめるように忠告するのだが…。このタイミングで次男は大石にすべてを暴露する。その上で、自分が犠牲になればすべてが丸く収まると考えるようになるのだが…。
後半では一気にシリアス調になる。吉良上野介として死ねばすべてが終わる。ここで次男が死んだらシリアスのまま、ちょっとした感動物語になるのだが…。そうはならないのがよい。
最後までコメディを押し通している。