ミッドナイト・ファミリー


 2023.3.9     家族経営の救急車は衝撃だ【ミッドナイト・ファミリー】

                     
Midnight Family
評価:3

■ヒトコト感想
メキシコでは怪我をして救急車を呼んでも救急車は来ないらしい。かなりの衝撃だ。日本では当たり前の救急医療がメキシコでは整備されていない。国が運営する救急車や病院は常に人がいっぱいな状態となる。当然だろう。900万人の都市で45台の救急車というのはありえない。そんな都市で活躍するのは民間の救急車だ。非合法なのだろうが…。

何かと問題があるのはあきらかだ。けが人を救急車にのせて死んだらどうなるのか。怪我人を病院に送り届けたあとに金がないと言われたらどうするのか。そんな誰もが思う疑問が、やはりリアルに語られている。衝撃なのは、何の資格もない男が怪我人の応急処置をしている部分だ。日本では考えられない状況だ。

■ストーリー
メキシコ・シティでは、人口900万人に対し、行政が運営する救急車は45台にも満たない。そのため、専門訓練もほとんどなく、認可も得ていない営利目的の救急隊という闇ビジネスが生まれている。オチョア家族もその一つだ。 同業者と競い合って、緊急患者を搬送する毎日。この熾烈なビジネスで日銭を稼ごうと奮闘するオチョア家だが、現実はそう甘くない。腐敗した警察による取り締まりが、さらに家族を窮地へと追いやっていく。

■感想
家族で救急車を経営している。ありえない状況だ。民間の救急車というのであれば、社員がいて会社から指示があり隊員が現場に直行するというパターンかと思ったが…。想像以上に家族経営だ。救急車は父親、兄、小学生の弟+もうひとりという体制で運営している。

弟などは暇な夜には救急車の中で寝たりもする。まさに家族総出で救急車を運営している。路上で待機し、無線を傍受し怪我人が発生すれば同じような民間の救急車と一番のりを目指して激しくカーチェイスする。信じられない状況だ。

彼氏に殴られ鼻を骨折した女性を病院へ送る。保険に未加入で顔じゅう流血している。公的な救急車を呼んでも30分来ない。となると民間に頼るしかない。家族に連絡し公的な病院はすでに大量に人が押し寄せており入れないからと高額な民間の病院へと送るのだが…。

ここで、送ったあとに料金を請求し正しく払ってもらえるわけではない。非常に厳しい状況だ。目の前で怪我をした人がおり、救急搬送する前に料金の交渉をするわけにはいかないのだろうが…。

家族経営ではあるが、その日食べる物も買えない状況にまで追い込まれている。まれにうまくいけば救急医療として費用をもらえるパターンもある。ただ、やっと手に入れた金も警察に賄賂としてとられるパターンもある。民間の救急医療が違法なことは間違いない。

許可証だけでなくなんだかんだと理由をつけて警察は賄賂をとろうとする。とんでもなく腐った組織だ。金儲け半分人助け半分というのはあるのだろうが…。民間の救急医療は決して割の良い仕事のようには思えなかった。

メキシコの救急医療の現実はとんでもない状況だ。



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