真夜中の栗 (幻冬舎文庫) [ 小川糸 ]
評価:3
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■ヒトコト感想
小川糸のエッセイ集。作者の日常を描いたエッセイなのだが、主にはベルリンでの生活が描かれている。時間軸的には、コロナが収束した後のエッセイなので、様々な変化が描かれている。ゆりねも相変わらず元気ではあるが、拾い食いをして吐いて病院に行ったりと、相変わらずの暴れっぷりだ。ベルリンでの生活は日本とは様々な面で異なる。一番の違いは、数十年前までは東西に国が分かれていたということだ。ベルリンの壁の跡地に立ち入ったり…。作者はベルリンの壁が崩壊した時には高校生だったらしい。
壁が物理的に崩壊したことが東西の融合につながる。思ったよりも壁の高さが低いということで驚いたりもする。ベルリンに住む作者の日常エッセイだ。
■ストーリー
私の毎日はいたって平凡だ。仕事をして、料理を作る。市場で買った旬の苺でサラダを作ったり、暖房が壊れた寒い日には、キムチ鍋を囲んだり。眠れない夜には、茹でただけの栗を食べながら窓辺で夜空を見上げ、年末には林檎ケーキを焼きながら年越しの準備をする。誰かの笑顔のために、自分を慈しむために、台所に立つ日々を綴った日記エッセイ。
■感想
作家業はどこにいてもできるのだろう。ベルリンで生活する作者。たまに夫であるペンギンがベルリンに来たりもする。ドイツ語を勉強してベルリンでの生活を楽しもうとしている。ベルリンのイメージはあまりない。
ドイツということでソーセージとビールというイメージが強い。作者はベルリンでもごく普通の生活をしている。マンションのセントラルヒーティングが故障して寒い中で一日過ごす。ベルリンの真冬で暖房がないというのは地獄でしかない。命に係わることかもしれない。
ベルリンの年越しはすさまじいらしい。花火があちこちから鳴り響いているようだ。年越しといえば花火ということで、誰も夜中に花火をすることに文句はでないのだろう。そして、朝方まで街中で花火が鳴り響くので、作者は当然ながら寝不足となり初日の出が見れないとぼやいていた。
なんだかこのあたりも文化の違いが大きいのだろう。作者の生活スタイルなどを他エッセイで読んでいると、純日本風な生活があっているような気がした。ならば、なおさら日本で生活したほうが良いのではないのか…。
食べ物関連のエッセイが多い。ベルリンで友達を呼んでパーティをしたり。かと思うと、家でひっそりと栗を夜中に食べていたり。強烈なインパクトのある日常ではない。ベルリンに住んでいることが、少し日本人からすると非日常ではなあるが、ベルリンでも落ち着いた生活をしている。
ベルリンという前振りがなければ、全く日本に住んでいるときと同じような生活に感じられた。ゆりね関連のエッセイも少なくなってきたのは、ゆりねがアクシデントを起こさなくなったからだろう。
ベルリンでの生活をメインとした日常エッセイだ。