まちがい 


 2024.8.21      財力ある大人の三角関係は悲惨だ 【まちがい】


                     
まちがい/辻仁成
評価:3
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■ヒトコト感想
エステ経営者の秋声。友人で実業家の大悟に資金援助を申し入れたのだが、条件として提示されたのは…。大悟の奥さんである冬を誘惑し、付き合うことが条件だった。大悟が若い女と結婚したいための鬼畜な依頼なのだが、秋声はエステを立て直すために条件を受け入れる。

友人の奥さんを誘惑し付き合う。かなりのハードルが高いミッションだが、秋声は冬の美貌に見せられ本気になってしまう。このまま冬と付き合い、大悟は若い女と結婚しめでたしめでたしかと思いきや…。大悟は冬に戻ってくることになる。かなり身勝手な大悟と、最後までその気持ちがよくわからない冬に振り回される秋声の物語だ。経営者としての才覚はない秋声ではあるが、女にはモテるようだ。

■ストーリー
愛し合ってはならない二人の光と影高級エステの経営者・芹沢秋声は、友人で実業家の榊原大悟に資金援助を申し込む。すると「自分の妻と関係を持ってほしい」という条件が出される。秋声は困惑しつつも大悟の妻・冬に近づく…。

■感想
友人の妻を誘惑し寝とる。普通の精神では実行できないミッションだが、秋声はエステを立て直すためには資金援助が必要なので、大悟の依頼を受けることになる。大悟の身勝手さはすさまじい。自分から冬に別れを告げるのは辛いからと、冬から別れを切り出すように仕向ける。

よくあるくそのような男の典型だ。慰謝料の話だとかそれも絡んでいるのかもしれない。秋声が昔からイケメンでモテていたからと、必ず冬が秋声になびくとはわからない状態での依頼をするのもぶっ飛んでいる。

秋声は冬にぞっこんとなり、冬も秋声のことを好きになる。ここまでうまくいけば、あとは冬と大悟が別れるだけなのだが…。ここで物語が大きく変化していく。大悟は若い女と別れて冬の元に戻りたいと言い始める。

すでに関係として終わっているはずの冬と大悟なのだが…。ここで冬がいつまでも大悟と肉体関係を結び続けるというのが物語のポイントだ。秋声では満足させられない何かが大悟にはある。冬は大悟から離れられない体になっている。

秋声の苦しみが描かれ、冬自身も苦しんでいる。そして冬はブエノスアイレスに移住しそれを追いかけるように秋声も向かう。そして、大悟も…。この強烈な三角関係はどのように終わりを迎えるのか。大人であり財力もある者たちの三角関係は悲惨でしかない。

秋声は人間としての魅力はあるのだろう。実は大悟が別れた若い女は、その後に秋声が知り合った若い女だとわかる。このことを大悟が知ったらさらに激怒するはずなのだが…。

大人の三角関係はすさまじい。



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