マスカレード・ゲーム 


 2023.7.24      女刑事・梓がホテルをかき回す 【マスカレード・ゲーム】

                     
マスカレード・ゲーム [ 東野圭吾 ]
評価:3
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■ヒトコト感想
マスカレードシリーズの第四弾。ホテルコルテシア東京に潜入捜査する新田を描く。前作で海外へと赴任した山岸が呼び戻され、いつものコンビがホテル内で躍動する。今回の事件は復讐劇となっている。犯罪被害者が加害者に対して憎しみを募らせる。加害者がのうのうと平和に暮らしていると怒りは増してくるだろう。ローテーション殺人として犯罪被害者家族たちが、それぞれの加害者を別の被害者が殺害する。

このパターンだと想定した新田は次の犯罪が行われるであろうコルテシア東京に侵入し、犯罪を未然に防ごうとする。誰が犯人かがわからず、ホテルの宿泊客の身元を確かめることから始まる。本作のポイントは間違いなく女刑事の梓だろう。新田たちのホテル内捜査をかき乱す役目をしている。

■ストーリー
解決の糸口すらつかめない3つの殺人事件。 共通点はその殺害方法と、被害者はみな過去に人を死なせた者であることだった。 捜査を進めると、その被害者たちを憎む過去の事件における遺族らが、ホテル・コルテシア東京に宿泊することが判明。 警部となった新田浩介は、複雑な思いを抱えながら再び潜入捜査を開始する――。

■感想
新田が今回もホテルコルテシアに潜入捜査をする。目的はローテーション殺人が行われるであろう場所だからだ。犯罪被害者たちがそろって同じ時期にコルテシアに宿泊する。それぞれの被害者家族の事件の加害者たちは何者かに殺害されている。

交換殺人とでもいうのだろうか。山岸がロスから呼び戻され、いつもの新田とのコンビがスタートする。次々と新たな登場人物がでてくる。ホテルに宿泊する際に身分を偽るのは法律違反ということに驚いた。普通に誰でもやっていそうなことだろう。

それぞれの犯罪被害者たちがどのような形で連携をとっているのか。新田と共に事件の調査をする梓警部が曲者だ。犯人逮捕を一番に考え、違法な捜査もいとわない。容疑者たちの部屋の荷物を勝手にあさる計画を立てたり、部屋に無断で盗聴器を仕掛けたり。

それらについては幹部にそれとなく話はするが何をやるかは言わない。すべてを自分の責任で実行し、幹部は成果さえ出ればよいと考える。この手の刑事はいるのだろう。新田はホテルとの信頼関係を心配し、梓を止めようとするのだが…。梓の強烈な勝気キャラが印象的だ。

様々な容疑者たちが入り交じる中、山岸があることに気づく。これをきっかけとして新田は捜査方針を大きく変えるのだが…。結局は犯罪被害者たちは加害者に怒りの気持ちをもつとしても、それがむなしいことだと気づく。犯人は確かに意外な人物だ。復讐にとらわれても誰も幸せにはならない。

山岸がホテルのコンシェルジュとして被害者家族たちと接することで、新たな面を発見する。今回はそれほど無茶な要求が客からくることはない。どちらかというとホテルメインではなく、被害者たちの繋がりがメインだ。

本シリーズは本作で終わるのだろうか?



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